あとがき『単独短編』

 真剣にお題に向き合って考えていく単独短編。皆勤賞の保険のために書いているようなものです。けど、その都度オリジナルの話を考えるのもまた楽しいものですよね。



 猫の本屋さん

 黒猫さんの後をついていくと

 https://kakuyomu.jp/works/16817330653868544874


 お題が『本屋』と言う事で、本屋を舞台にどう言う話にしようかと考えていたら出来上がりました。猫が導く展開は散歩中に見かけた黒猫が元ネタになっています。この出会いがあったから黒猫が主人公の相棒になったのですね。

 この作品、主人公の名前が設定されておりません。何故なら人と会話をしないから。人間が主人公しか出てこないので、名前を考えなくてもいいかなと思ったのです。


 猫が店番をする猫が楽しむ本だけを置いている『ねこや本屋』。店番が黒白ハチワレなのは、私が好きだからです。締切が短いお題小説ですもの、登場人物はパッと思いつくものでいいんですわ。

 不思議な終わり方にしたかったので、最後はちょっと投げてみました。結局はイオの狙い通りになったと言う事で。ねこや本屋は、きっとねこの願いを叶えるための本屋さんなのでしょうね。



 ぬいぐるみの奥様

 もう一度妻に会いたい

 https://kakuyomu.jp/works/16817330653954065324


 お題が『ぬいぐるみ』なので、定番の動くぬいぐるみの話が降りてきました。何故ぬいぐるみが動けるのか、そう言う種族なのか、その理由を深掘りしていると、死者蘇生の失敗と言う理由に辿り着きます。

 本来は使えるレベルになかった魔法使いが分不相応な魔法を使う。それで人形に魂が定着してしまった。そこまで思いついたところで物語はスラスラと完成していきます。


 死者が蘇ってしまった悪影響もあるだろうと言う事で、ラクスもまた同じぬいぐるみの体になる覚悟を決めます。ファンタジーならこう言うオチも許されますよね。きっとこの2人は永遠に歳も取らずに好きな研究を続けて、やがては幻の賢者とも言われるようにもなるのでしょう。ほつれさえしなければ。



 ぐちゃぐちゃの占い師

 ぐちゃぐちゃの線を見れば何でも当たる

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654078823150


 お題が『ぐちゃぐちゃ』だったので、かなりプロットを書くまでがかなり大変でした。定番のぐちゃぐちゃパターンではないものを書こうと思ったからです。どれだけ考えても話が思い浮かばなかった私は、ついにグーグルさんに頼りました。『ぐちゃぐちゃ』で検索したんです。

 すると、紙にぐちゃぐちゃの線を書いたものばかりが表示されたではありませんか。ここで私はピーンと来ましたね。この線で占いをする人を主人公にしようと!


 占いって、個性的なやつはその時に偶然起こる何かしらの結果から答えを導き出すじゃないですか。カード占いですら、シャッフルしてその時のタイミングで占います。だから、もしかしたらこのぐるぐる線占いも実在していたりもするのかも知れません。あったら面白いですよね。


 で、占いのエピソードだけでは単調なのでトラブルを起こしたら、そこからは何故か魔王と勇者の話になってしまいました。書いていったらそうなっちゃったんですよね。不思議。行き当たりばったりばんざーい。

 ちなみに魔王はロリ幼女です。長生きしているのでロリババアかな。自分より強い勇者に一目惚れして追いかけています。この設定、本編には活かせませんでしたけどね(汗)。



 満月散歩

 それは満月の夜の不思議な出来事

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654176871344


 今回のお題が深夜の散歩だったので、散歩中に何が起こるのかを中心に話を組立っていきました。最初、単独短編のプロットは凄くシュールなものにしようと思っていたんです。ですが、それは読者に失礼なのではないかと思い直して、分かりやすいハートフルな感じのものに変更しました。今までKACで一度完成したプロットを捨てた事はなかったので、今作が初めての全ボツでしたね。

 でもそれで良かったと思います。まぁシュールな展開で書いても、ある程度評価された可能性も無きにしもあらずなのですが(汗)。


 今作は、主人公の『俺』が深夜の散歩中におばけに出会った事から話が始まります。このおばけを狸が化けたものにしようと言うのは最初から決めていました。そのイメージがまず最初に思い浮かんだです。そこからは話がスルスルっと出来ていって――。

 でもこれって平成狸合戦ぽんぽこっぽいですよね。まぁ多分元ネタはそれですよ。満月と狸は何だかんだ相性が良いのです、ええ。主人公は狐ですけどね。



 世界でいちばんやさしい筋肉の人

 伝説の筋肉の人

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654251751908


 この話、元々は777文字作品用でした。プロットを書いたら、とても777文字に収まんねーって思って単独短編用に回したんです。なので、プロットに肉付けする形で書いていきました。777文字用なら描写を削りまくらないとですからね。

 テーマが『筋肉』と言う事で、むっちゃ筋肉を強調して書いております。今回書いた3作品で一番お題に忠実ですね。そしてほんのり悲劇と言う。ただ、ガルの生死はハッキリ描写しておりません。なので、実は生きていると言う世界線もありです。読んだ人それぞれが色んな結末を想像して欲しいな。


 この物語のベースは昔話です。まんが日本昔話とか見ていたらたまにあったでしょう。馬鹿みたいにドデカくて力持ちが主人公の話。あの手に話に自分なりのアレンジと筋肉を足していったらああなりました。昔話なのかSFなのか神話なのかって感じで混沌としてますけど(汗)。

 深いテーマを語っているようで、よく読むと色々おかしいと言う変な作品です。私は割と気に入っておりますよ、ええ。



 アンラッキー7って、正気か?

 いや、俺、別に不幸じゃねーし

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654376373540


 お題がアンラッキー7と言う事で、最初は別の話を考えていたんですよ。でもその話は777文字作品と展開がそっくりだったので、ちょっとやめようかなと。そこで、このお題でもっと独自の発想が出来ないかと考えました。そこで辿り着いたのが戦隊モノですね。ヒーロー名が『アンラッキー7』て言うのはアリじゃなかろうかと。

 そこから、ギャグに振り切った話が出来上がっていきました。多分ですけど、このお題で同じ発想になる人はいないんじゃないかな。もしいたら、どこかで固い握手を交わしたいですね。


 実は戦隊モノ、もう全然見ていなくて適当に書いています。だから熱心な戦隊ファンからしたらザケんじゃねーって怒られるかも知れません。ギャグですのでね、どうか生温い目で見てくださると幸いです。

 この作品、最後がすごく駆け足ですけど、これはどうにか4000文字に収めようとした結果です。今回は文章に上限はないのですけど、やっぱり4000文字以内に収めたくなるのですよねえ。



 退魔師見習い少年、不運と踊る

 本屋で出会った謎の少女

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654471904825


 KAC20237のお題は『いいわけ』。しかし、これがラストお題。なので、必然的にお題全部入り作品になる事は決定していました。後はどのようにお題要素を出すかと言う事。全てのお題を見ながらプロットを組み立てていくと、物語の流れがホラー寄りになってしまいました。『ぐちゃぐちゃ』とか、『深夜の散歩で起きた出来事』とか、ホラーが似合うお題ですものね。

 最初は現代ファンタジーにしていたんですけど、結局ホラーにしました。物語がスッキリ終わっていませんし、読後感は不安が残る感じですからね。もうこれホラーでしかないやんと言う事で。


 プロットの段階では「ぬいぐいるみ?」で終わっていたのですけど、それだとメインテーマがずれると言うか、『いいわけ』がメインになっていない気がして少し加筆しました。これで『いいわけ』が主軸になったような気がします。蛇足になってしまったかも知れませんけどね。個人的には満足しておりますよっ。


 タイトルの『不運と踊る』と言うのは、つまり不運ハードラックダンスっちまったって事なんですよね。実際、作中の『僕』は不運しか襲っていませんから。タイトルに偽りなしなんですね。

 個人的にはかなり満足しているのですが、読み手に回るとどうなのかしら? 楽しんで頂けたなら、幸いです。

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