一度だけ見た幻想的な風景のこと
@J2130
第1話 あれなんだろう…
幻想的な風景にはそうめぐりあえません。
だからこそ“幻想的”というのでしょうね。
日の出や日の入り、雲海は想像できますが、僕はただ一度だけ非常にレアな風景を見たことがあります。
レアなのであまり画像もないようで、検索してもそうはでてきません。
もう20年近く前になります。
当時はまだデジカメでした。
バッテリーの残量がぎりぎりでやっと2枚だけ撮れた写真があります。
UPはしませんが…すいません。
筆力が試されますね…無駄な努力をします。
当時、娘は幼稚園の年中さんで僕らはぼちぼち家を購入しようとしていました。
週末になると不動産会社に連れられていろいろな土地や建物を見てまわっていました。
もう半年ぐらいやっていて、だいぶ疲れたころでした。
ご経験のある方はなんとなくわかると思います。
なにしろ高い買い物ですので…
何千万なんてね…会社のお金ならともかく自分が借金して購入する金額か…? と思います。
何ヵ所見たか…もう覚えていないです。
だいぶ疲れたしちょっと出かけようとのことで軽井沢に行きました。
十月でした。
数週間前、ここなら…と奥さんが方位もいいし…という建売があったのですが、車の出し入れが厳しく遠慮したものがありました。
断るのも疲れますよね。
義父は軽井沢に別荘を持っており、僕らは息抜きに行くことになりました。
軽井沢は十一月のはじめまではまだいけるのです。
今ではそうでもないですが、昔は元気もあったので別荘に行くと周辺の観光施設にいくつも行きました。
もうそんなことしません。
行っても一か所か二か所です。
その日はちょっと足を延ばして草津まで。
「草津よいとこ一度はおいで…」
二度目か三度目だったと思います。
昼ぐらいから小雨が降っていて、
傘をさしながらお土産屋さんとか饅頭屋さんとかまわっていました。
湯畑も…
「やまないかな…」
とまだ小さい娘や奥さんと話していました。
娘はそのころプールが大好きだったので、プールと温泉がある施設に行きました。
僕らも当然泳ぎます。
屋内プールです。
窓から外が見えます。
ちょっと晴れたのか…
「パパ、虹が見える」
奥さんが教えてくれました。
少しくもったガラスの向こうに虹が見えました。
「小雨が降ってたからね…」
虹ってなんとなく見えるとうれしいです。
レアだからでしょう。
その後温泉に入り別荘へ帰ります。
もう外は真っ暗です。
景色のいい開けた場所にでました。
キャベツ畑だったかな…
そこだけ木々もなく北海道を思わせる風景ですが、周りは山です。
ここからは丘に思えますが、もともと標高の高いところですから。
昼には山々、広大な畑、本当にみとれるほどのところです。
そのため駐車場もあります。
見晴らしのいいところですと、いろいろな場所にありますよね。
そこにも10台くらい停まれる駐車場がありました。
行くときに通ったさいはバイクと車があり、数人が写真をとっていましたね。
ですが帰り道、今は夜です。
山中なのでほとんど家の灯りも街灯もありません。
昼とはうってかわった様子です。
僕は速度に注意しながら車を走らせました。
アスファルトはまだ湿っていましたから。
右手に畑、その先に緩い丘陵です。左にも畑、こちらもおだやかにくだっています。
もうすぐまた森に入るところでした。
「パパ、あれなんだろう…」
すっかり寝ていると思っていた奥さんが後部座席から言いました。
普通は寝ているのですが…
「あれって…? 」
速度を落として僕は言いました。
「右…丘の上…」
右の車窓から外を一瞬見ました。
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