最悪の初めて 05
「シャワーしてくるね」
「ん、行ってきな」
パタパタとバスルームへ駆け込む。
シャワーを全開にして備え付けのボディーソープで念入りに体を洗った。
無理やり捻じ込まれた部分は違和感がありジンジンするような気がする。
(これが処女を捨てるってこと?)
綾音たちが『捨てる』と表現したとき嫌悪感を抱いたリカだったが、『捨てる』で合っている気がした。
まさに今日、リカは処女を捨てたのだ。
漫画やドラマなんかにあるドキドキした行為は、現実にはないのだ。やはり二次元の世界とは違うのだということを嫌というほど実感させられた。
「またしたくなったらいつでも誘ってよ」
「うん、今日はありがとう」
当たり障りのない言葉で淳志と別れる。
貼り付けた笑顔が剥がれないうちに、リカはバイバイと手を振って駅まで走った。
もう二度と淳志と会わないと心に決めて。
綾音からも「どうだった?」と感想を求めるメッセージが送られてきていたけれど返す気にならなかった。
もう、綾音たちとも距離を置こうと思った。
楽しく遊べる友達だと思っていたけれど、何か違う気がした。
リカはもっと普通の女子高生をしたかったことに、今更ながら気づいてしまったのだ。
綾音たちから誘われることに体よく断るために、バイトのシフトを増やした。
塾にも通うことにした。
進路なんて決まっていないけれど、とりあえず進学を目指す。
そうしてリカは二度と過ちを犯さないために、用心深い大人になっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます