カゲロウ

ビルとビルの群青に滲む

夏が僅かに声を洩らす

弾かれた僕の思い出が

渡り鳥が運んでいく


遠くを観れば安心する

宇宙の広大さを知る

破茶滅茶な理屈と思うけど

特効薬は常備しなくちゃな


寒がりな微笑に声を掛けよう

例えば君の知らない話をしよう

嘆く隙間も飛ぶことを忘れて

共に流れる時間に引き連れて


抱き締めたいよ

こゝろの奥で僕が騒めく

歯痒い色彩に神妙な理屈をごねて

立場がないと

こゝろの側で君が呟く

消えているさりげない優しさ


カチカチな豆腐の角で

忘れていた臆病な音

誰にも悟られないように


等身大のビルは切り裂く青い空

渡り鳥 なびいて いくだけ


抱き締めたいと願うしらべ

こゝろの奥は僕が騒めく

歯痒い色彩の誠実が理屈をごねて

立ち位置の変わり目に

こゝろの側は君が呟く

増えてゆくさりげない優しさを


君をただ抱き締めたいよ

こゝろの奥で僕が呟く

歯痒い色彩に神妙な理屈をごねて

立場がないと

こゝろの側で君が騒めく

消えていくさりげない優しさと


ビルとビルの群青に滲む

記憶が僅かに震えている

カゲロウと弾かれた僕を

渡り鳥が運んでいく

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