僕と本屋とあの店員

古味矢川 侑

僕と本屋とあの店員(プロローグ)

「君は本が好きかい?」


たまたま立ち寄った本屋で、探していた本を見つけパラパラと中を見ていると、横から『ヌッ』と、もさもさ頭の店員が現れて僕にそう聞いた。

僕は戸惑いながら

「まあ」

と答えると店員は、

「そうか」

「・・・」

その店員が放った言葉はその一言だけだった。

僕は、『なんなんだこの店員』と少しの苛立ちと不気味な感覚を覚えたため、手に持っている本の会計をさっさと済ませて帰ることにした。


すると最悪なことに、会計はその店員だった。

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