第6話 アンラッキー7とケンサク

 まいどっ、本屋で働くケンサクでっす。


 『アンラッキー7』って本、知ってる?


 最近ちょくちょく売れるんだけどさ、俺、どんな内容なのか知らないんだ。


 タグもついてないんで、タグちゃんたちも何も知らないみたいだし。


 『アンラッキー7』なんて、なんだか不吉な題名だよね。


 良くないことが7回起こるんじゃないか、とか、7人の人が不運に見舞われるんじゃないか、とか、チェーンメールみたいに7人に読ませろと強要される、とか、色々想像しちゃうよね。


 で、すごい気になるしさ、読んでみようと思って。


 えーと、なになに……


『月曜日。やけに光がまぶしい。昼の光の明度を調整。


 あーあ、週の始まりっていつも、超ダルッ。


 かったるいし眠いので、暗くして夜にして、すぐ寝た』


 なんだこれ? 日記?


『火曜日。空の色は青にした。


 めんどくさいので下の水の色も青にしようとしたが、センスがない、とか、手抜き、とか言いやがるヤツがいるので、いっそもう色なしの透明にしてやった。


 でも、空の色が映って結局、青にみえる。ま、いいや』


『水曜日。水に土を盛って、緑の植物を植えた。


 ホントは植物、もっとド派手な色に塗りたくってやろうと思ってたんだけど、ママンが、作業するのに目にいいのは緑だから緑にしときなさい、って言うからさ。


 口出しされてやる気なくして、適当にぽんぽん投げ植えしてたら、多くなり過ぎたかもしれない。うじゃうじゃ生えてる』


『木曜日。ああもう、わかってるよママン。


 起きてちゃんとやるから……また落第しないようにするから。


 太陽と月と星だろ。全部3個ずつくらいでいいかい?


 うざっ! どーしていちいち口出しすんだよ、好きなようにやらせろよっ。


 こんなものっ、ええいっ! あーあ、砕けちゃった。


 しょうがない、太陽1個と月1個、砕けたのは全部、星ってことで』


『金曜日。きのう癇癪を起こしたのは、ちょっと反省してる。


 だから今日は真面目にやるよ。今日は、なまもの作ればいいんだろ?


 ほら、どう? いっぱいあって、奇抜なデザインで、綺麗だろ?


 その気になりゃ、ちゃんといい作品、作れるんだよ。ドヤッ』


『土曜日。きのうがんばりすぎて、今日はまたすごくかったるい。


 のこりのなまもの、めんどいから適当でいいや。


 ほーれほれほれ、ちょいちょいちょいっと。


 へへっ、こいつらはつるんつるんで、ちょっとエロくしてやろっと。遊び心さ。


 でーきたできた、っと。これ提出して、明日はお休み、うれしいなっ』


『日曜日。ごめんよう、ママン。泣かないで、大丈夫だから。


 今回はアンラッキーだったんだよ。採点の先生がさ、7人ともエロに厳しい先生でさ。


 遊び心で作った、あのエロいなまもの、自分たちに似せすぎてしまったから、余計にエロく見えちゃったらしくてさ。


 でも、あのエロいなまものだけ、うまく取り除けたら合格させてくれる、って言ってたから、大丈夫だよ。


 今日は休んで、来週、ちゃんと取り除くよ。計画立ててさ。


 計画名も考えてあるんだ、アンラッキー7、っていうんだ!


 だから、ね、心配しないで、ママン』


 ……ちょっ……!


 ……まさか……だよね……フィクション日記だよね。


 これがホントなら、エロいなまもの、7人くらいの不運じゃ済まないよ。

 

 もし、約46億年で1週間とすると……ここに書いてある来週って、いつだ? 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る