本屋という逃げ場
明鏡止水
第1話
本屋は、逃げ場だった。
図書館や図書室は寒くて。
家と外はもっと寒い。
なのにそんな中、自転車で12分か、15分か。それくらいかけて、黒いコートを。もう小さくなって肩幅もキツいそれを着て。
TSUTAYA。蔦屋書店へ逃げる。ちょっと前まではすみやだった。それが、レンタルもしていないのにTSUTAYAに生まれ変わり。
私はそこで、D・Gray-manや家庭教師ヒットマンREBORN!の新刊を心待ちに。
何月の新刊リスト、と本棚の側面に貼られた発売予定のリストに。自分の好きな作品が、漫画が入っっていないか確かめて。数月ごとに喜んだりがったかりしながら。
自転車の車体と同じくらい冷たい手でハンドルを握り1日に3件ほど書店巡りをしていた。
くまざわ書店と、戸田書店と。巡ったからなんだ、というと。置いてある本が違う。戸田書店にはエンジェル・ウィスパーとかいうのや、6番目の小夜子があり。
TSUTAYAは空の境界があり。くまざわ書店は実は遠くて。タイムクリップは雑貨と共に地獄変の、BLEACHの漫画家さんのイラストが使われた珍しい本があった。
あのころには、戻れと言われたら、戻る。でも、本屋は戻るどころか減り、訳の分からない焼肉屋になったり、移動したりした。やはり戻れない。
今では本屋さんへ、車で向かえる。暑さは良かった。寒さが身体を貫通して。なんとか立たせていた。本屋のトイレを、私は、大人になってから利用した。手を洗ってでる。
まだ誰のものでもない、しかし、お金を出せば、手に入るよ。
という本屋の本たち。
ごめんね、PayPayが欲しくて、今はYahoo!とか。ネットe-bookとかで買ってる。
それでも、本の内容が頭に入らない時。
私は好きな作家のライトノベルを本屋で探す。
もう、発売日は調べられらようになったから。あとはその本そのものをお店で見つけるだけ。
見つけた時。ありがとうと思う。
ネットで売っているのは配送料がかかる。PayPayが付いても割に合わない。本の帯が楽しみなのについていない時もある。
本屋さん、社版を入荷してきてくれて、陳列してきてくれてありがとう。
あの頃、逃げるように通った本屋の店員さんたち。どうか、優しい書店員さんでいて。
私は本屋さんの店員さんにはなれなかった。
ならなかった。ならない。
本屋で、眺める、一生の人。
本屋という逃げ場 明鏡止水 @miuraharuma30
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