夏。

Rotten flower

第1話

道を歩いていると、不思議な本屋を見つけた。

看板もなにもない、個人で営業していそうな本屋だった。

一度入ってみたが店主も何もいなさそうなので、SNSで誰かに聞いてみることにした。

文字を打っている間、蝉の鳴き声が聞こえる。自分は虫が嫌いだがこの鳴き声だけは気持ちよく感じた。


「投稿が完了しました。」

画面に文字が映し出される。ネットワーク環境が悪いからか少々時間がかかってしまった。

その間に、俺はある本を買いたいと感じた。

レジに持っていくが誰もいない。少々立ち読みしてみることにした。

「ある日の暮れ型のことではないが、とても面白い経験をした。」

始まりがとても変な感じだ。


結局、店主は来ないままこの本を読み終えてしまった。一部始終が意味不明だった。

この本をもとの場所に戻してから他の本を買おうと思い、「哀しみのモールス信号」をレジに持っていった。


レジに置く。もちろん店員はいない。

すると、本が浮きバーコードが読み込まれた。脳内に声がひびく。

「あなたは人道的です。おめでとう。」

どういうことだろうか。

「私は自らの判断で自らを溶かすものを見てきた。」

まるで翻訳されたような文章だ。




私は変なところに来てしまったようだ。

本屋だが、何も名前を示すものがない。店員もだ。

……万引きしてもバレないのではないだろうか。

そう思った瞬間フレームが自分の墓穴だった。

してしまったのだ、本当に。

目の前が真っ暗になった。悪魔の銅像だけがそこに存在る。

銅像が動く。何か人間語ではない言葉を話す。

その瞬間、一冊の本ができた。正しく言えば、一冊の本になってしまった。

自分自身の軽率な行動でどれだけの損失が出来ただろうか。


犯罪者が刑務所に入るときこんなVRを見せられる。

この世界の行動は刑期が変わる行動と言っても変わりない。

そして、明日も明後日あさっても二、三人がこれを見せられる。嫌、見るのだ。

「お前の刑は……」

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夏。 Rotten flower @Rotten_flower

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