イグニスの大冒険 ~やがて勇者と呼ばれる少年~

chomocho@処女作執筆中

僕の冒険日記

神皇歴2659年3月15日

本屋さん




「いってきまぁす!」




 僕は、朝、元気よく挨拶をして、おうちから出発しました。


 本屋さんへ向かう為です。


 お母さんは笑顔で、送り出してくれました。お母さんはいつも笑顔で、優しいです。


 僕は今日を、ずっと楽しみにしていました。


 山賊ヤツマタの大冒険、その新刊が読めるからです。




「こんにちは!!ありますか!?」


「おお、イグニスか。あるぞ。どれ、今持ってくるから、そこに座って待っていなさい」


 僕は本屋さんに到着すると、さっそく、本屋のおじさんに尋ねました。


 本屋のおじさんは、いつも良くしてくれます。


 いつもニコニコしているし、飴をくれるし、本を読む時に、飲み物も出してくれるんです。




 ──こうして、山賊ヤツマタは、大きな、とても大きな竜を倒したのです。そして、お姫様は助かりました。感謝した偉い王様は、ヤツマタを勇者として褒め称えました。ヤツマタは、もう山賊と呼ばれる事はありません。勇者と呼ばれるようになったのです。おしまい。──




「すごい!」


「ほほ──。面白かったかね?」


「うん!山賊さんは……お母さんと約束だからなれないけど、僕もいつか勇者になる!」


 残念だけど、お母さんとの約束で、僕は山賊さんにはなることが出来ません。


 お父さんは、今は遠い所にいるみたいなんだけど、凄く強い狩人さんだってお母さんが言っていました。


 だから僕は、狩人さんになるつもりです。


 だけど、勇者は駄目だって言われていません。


 内緒だけど、僕はいつか勇者さんになりたいです。




「おじさん、今日もありがとうございました!」


「おや、もういいのかね?」


「うん!遅くなるとお母さんが心配するから!」


 本屋のおじさんは、本当に、いつも優しくて、だから僕は、本屋さんと、本屋のおじさんが大好きです。 




「ただいまぁ!」


「おかえりなさい。ちゃんと、おじさんにお礼を言ってきた?」


 でもやっぱり、一番大好きなのは、お母さんです。

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