ある夜の夢
冲田
ある夜の夢
──ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン
わたしは、
年季の入った座席には、向かい合わせで私を
窓の外を見ると、目に
まるで銀河鉄道にでも乗っているようだ。──きっとこれは、夢なんだろう。
「あの……この列車はどこに向かっているの?」
わたしは向かいに座るおさげの女の子に聞いてみた。
「未来よ。私たちはいつだって、未来に向かっているの」
答えになってないように思いながら、いつのまにか
「どこで降りたらいいんだろう?」
「私はずっと、終着まで乗り続けるわ。お母さんが言った通りにこのままこの列車に乗っていれば、
「僕は次の駅で乗り換えるよ」
「スポーツ選手になりたいんだ。この列車の旅は楽ではなくても快適らしいけど、このまま乗ってたらダメなんだ」
「私も次で降りるわ。私は歌手になりたいの。あの一等星のように
歌手になりたい女の子は空に
「あの星にたどり着く、最後の乗り換え列車に乗れる人はほんの
おさげの子が、
乗り換え列車の向かう先はここからでは
──ガ タン、ゴト ン、 ガタ ン、ゴ トン……
「僕もあの駅で降りればよかったかな……。でも
通路を
「あなたは正しい選択をしたわ。だって、あそこで乗り換えたって、結局ここらにふよふよきらきら
おさげの子は物知り顔で言う。
「次はぁー、
「俺は見たこともないほど大きな星を目指して、次の駅で降ります。この駅からは徒歩で向かうしかない。それどころかレールも道もない。だから、あの星までの道は、俺が切り
男の子は
「前人未到の地は僕には無理だった。夢の星は
彼らは
──ガタ ン、ゴ トン、 ガ タン、ゴト ン……
「それで、あなたはどうするの? 特に夢がないなら、私と
おさげの子がわたしに言った。
わたしの夢。なりたい自分を、未来を思い描いてみると、ふっと自分の前にきらきらと輝く小さな星が現れた。その光に
「夢が、あるのね。
どうするの? あの星を追いかける? 駅は次々と通り過ぎていくわよ」
わたしの夢の星はどこに飛んでいったんだろう。どの駅で降りればたどり着くのだろう。もう、過ぎてしまってはいないだろうか。駅からの道は険しいだろうか。
「わたしは……」
おしまい
ある夜の夢 冲田 @okida
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