女神の楽園《アテナワールド》~少女は兄を救うため、美闘姫《ディーヴァ》となって舞台で踊る
とんこつ毬藻
Stage 1 闘技大会、開幕編
第1話 ミナモー01.開幕
「さぁ~、今年もやって参りました。七名の女神によって選ばれた精鋭達が集う、
円形の闘技場。舞台中央、マイクパフォーマンスを披露する女性のケモ耳が揺れる。両サイドには、予選会を勝ち抜いた二人の女性が既に舞台上へとあがっている。
「さぁ、本選一回戦がいよいよ始まります。
「うぉおおおおおお!」
鉄球を振り回し、己の力をアピールする褐色肌の女。2メートル近い体躯に身につける肩と胸、大事なところのみを覆った鎧は
「続いて
頬を赤らめた状態でお辞儀をする少女。海のさざ波を纏ったかのようなスカートに、水色のビキニアーマーを身につけている。
「尚、予選と違い、この闘いは全世界へ中継されております! 相手を殺す事は禁止ですが、舞台上は武器による攻撃も、魔法も、何をやっても構いません。観客席は結界により護られております。場外はありません。相手が戦闘不能になるか、降参すると勝利となります。己の全力を持って、相手へ挑んで下さい」
マイクを持ったケモ耳の女の子が戦闘へ巻き込まれないよう舞台から離れる。そして、審判席へ戻った彼女が開幕の合図を告げる!
「
天上の楽園に創られた舞台に今、開幕の鐘が鳴る――
★★★
そんな闘技大会の舞台に今、闘いとは無縁とも思える容姿の少女が立っている。まるで、フリルのついた水色のビキニで海水浴へ着た女の子だ。会場の熱気に呑まれたのか、自身のなだらかな双丘を包む
(もう~、どうしてこんなに露出度の高い衣装な訳?)
勿論、彼女がこの衣装を纏う事は初めてではない。予選会を勝ち抜いて理由があって此処に居る訳だが、この女神の神託により与えられた
「うぉおおおおおおお! ガキ~~! 死ねぇ~~!」
そうこうしている内に、鉄球を振り回す
(何が
「死ねぇ~~! 死ねぇ~~! 死ねぇ~~!」
女神が観ているこの舞台では、
少女のつま先が地面を弾き、くるりと回って着地。水面を弾くようにゆっくりと跳ねる少女。しかし、鉄球は空を切る。不思議な光景に観客が息を呑む。
「ちょこまかとガキが嘗めやがって……! このままミンチにしてやる!
「出たぁ~~~! グラマー選手得意の殺戮地獄車だぁ~~~ミナモ選手、一度も攻撃をせずに負けてしまうのかぁ~~!」
実況のケモ耳っ娘が立ち上がる! 回転力をあげた鉄球が鉄の壁のようにグラマーの身体を覆い、周囲に風が巻き起こる。そのまま一直線で少女との距離を詰めたグラマーはミナモを肉塊にしようと突進する!
「い、一体どういう事でしょうか!?」
この時、会場へ響いた音は、肉を潰した音ではなかった。それは、水面を思い切り弾いたかのような音。鉄球は水の膜のような壁に阻まれ、少女は腰のビキニに挿していた棒のようなものを
「終わりですか? じゃあ、次はこちらの番ですね?」
少女が地面を跳ねる度、ある筈のない、波紋のようなものが見えた。回転し、跳ね、持っている何かを返す。やがて、グラマーの背後に立った少女は、武器を閉じた状態でゆっくり呟いた。
「サザナミの舞――ユラギ」
鉄球を繋いでいた鎖が斬り裂かれ、球が地面に落ちる。鍛え抜かれた体躯に細かい傷がつき、ビキニアーマーの胸当てが落ちた事で、驚き、思わず両胸を押さえるグラマー。鍛え抜かれた大きな果実が露わになった事で、会場からは驚きと歓声があがる。
「き、貴様ぁ~~~ガキがぁ~~何をしたぁ~~!」
「何をって……
「踊った……だと!?」
「サザナミの舞、私が住んでいる村に伝わる踊りです。私、一応巫女なんで……あ、これはサザナミの扇って言います。私が扱う武器の
扇を広げ、閉じる彼女。そして、次にミナモが放つ言葉に、グラマーの怒りが沸点に達する。
「あなたは武器を失いました。悪い事は言いません、降参して下さい」
「どこまでも嘗めやがって……お前なんか、この拳だけで充分だ! その頭蓋を……この手で潰してやる!」
グラマーがミナモへ向け突進する。しかし、ミナモは既にグラマーの背後へと廻り込み、開いた扇を一閃した後だった。
「ごめんなさい。私、ここで負ける訳にはいかないので」
扇を閉じた瞬間、グラマーの両手が地面に落ちる。切断面と腹部から赤い液体を飛散させた彼女は背中から舞台上へと倒れるのだった。
「勝者――ミナモ・ミカガミ!」
こうして大歓声の中、
(お兄ちゃん……絶対助けるからね……)
これは
☆☆あとがき☆☆
こんばんは、数ある投稿作品より見つけてくださいまして、ありがとうございます。他サイトのコンテストへ以前投稿したバトルファンタジー作品となります。面白いと思っていただけたなら、フォロー、応援よろしくお願いします!
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