『おめでとう、今日からあなたは』

カネノネ+

〜その1(能力者)〜

「タケル様!!おめでとうございます!!あなたはなんと!!100万年に1度、当選者1名のみの抽選に当選いたしました!!」

「あなたには神より直々に特別な能力が与えられます!!」



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これまで普通の人生を送っていた『普通の高校生』タケル。


彼はある日眠りについたとき、見知らぬ少女に突然こんなことを言われた。

夢にしては意識が鮮明にあり、少し勝手が違っていた。


「えー…っと…」

「突然そんなことを言われても…」

タケルは困惑した表情で、その『天使の姿をした少女』に応えた。


それを聞いた少女はまた喋り始める。

「わかってますわかってますよ!!急なことで混乱してるんでしょう!!」

「ここは!!夢の中でも現実でもない場所!!」

「所謂『天国』ってやつです!!!」


(天国!?????)

(俺死んだの!?)

(いくつか言いたいことはあるけど…)

(何でこんなにテンション高いの!?)


「そしてあなたは神から、人智を超えた能力を受け取る権利を得たのです!!!!」

「あ、もちろん授けた後は元の世界に帰れますのでそこはご安心を!!」


タケルは少女に疑問をぶつける。

「まだ半信半疑だけど…」

「…そもそも何で100万年で1人にしか能力を渡さないの?」

「渡すのに大量のエネルギーが必要…とか?」


その問いに少女は答える。

「レアイベだからです」


(レアイベ??????)


「だって、『たまに』の方が一回の盛り上がりが大きいじゃないですか」


(『たまに』って100万年に一回の時も使う言葉なの???)


「まあ、そのおかげで『あなただけが持つ特別なもの』になるんですから、得したと思ってください!」


(それは…まあ確かに、その通りかもしれないな…?)



タケルは数多くの言いたいことを飲み込み、話を進める為に能力の内容について聞いた。

「わかりました、で、どんな能力なんですか」


「『意識して手で触れたものをマグマに変える能力』です」


(『意識して手で触れたものをマグマに変える能力です』????????????)

(い…)(要らねぇ!!!!!!!!!!!!)


「あ、えっと…じゃあ辞退ということでお願」

タケルの言葉を遮るように少女は叫ぶ


「ダメ!!!!!!!!!!!!!」


(うるさい)


「せっかくのイベントが台無しになるでしょ!!!!!!」


耳元で叫ばれたタケルは怒りながら返事をする。

「いや…」

「そんな能力を上手く使える高校生なんてこの世にいねぇよ!!!!!」

「何考えたらマグマってチョイスになるんだよ!!!」

「俺も周りも怪我しちゃうだろうが!!!!」


「え、でもでも」

「人間もマグマにできますよ」


「フォローになってねぇわ!!!」

「悪魔かお前!!!!」


「ものすごーくちっちゃーい石とかを、ちょおっとだけマグマにしてコンロの代わりとかにすれば、光熱費浮きますよ」


「急に現実的なメリットを言うな!!!」

「あとそんな器用な使い方出来ねぇわ!!」


「貰ってくれないと私拗ねますよ?」


「勝手に拗ねてろ!!!!」


「…(そっぽを向く)」


「本当に拗ねんな!!!!!!」


「えーい!!!!!!!」


突然、少女の手が光った。

タケルは驚く。

「な、なんだ…?」


「おめでとう、今日からあなたは能力者です」


(こいつ…話し合いを諦めて強引に渡しやがった…!!!)

(ていうか神直々にって言ってなかった…!?)



性格の悪そうな笑みを浮かべ、少女はそのまま少しずつ消えていく。

その最中に何か暴言みたいなものが聞こえた気がするが、まあ幻聴ということにしておこう。



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タケルは目が覚ます。

そして学校へ行き、授業を終え帰宅する。

帰路の途中にある小川。そこで小さな石を拾い、砕き、そのとても小さな破片をマグマに変えようと試みる。


火傷した。


「要らねぇ…」



〜その1(能力者)〜 -完-

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