本屋さんよもやま話
神崎あきら
第1話 ネット無き時代の本屋事情
私が子供の頃にはインターネットというものは無かった。もちろんAmazonなどのネット書店など無い。購入するには足を運んで本屋に行くしかない。そして、店頭にある本がすべてだ。
では、一体どうやって欲しい本を探していたのか。
店頭に貼り出された新刊情報のポスターや、購入した書籍に封入されているチラシの情報が頼りだった。そういうわけで、本屋に行かないと情報が手に入らない。
欲しい本が無い、そのときは取り寄せだ。店員に本のタイトルを伝えて注文をしてもらう。届くまで一~二週間、本屋さんから電話がかかってくるという方式だ。
今から考えると、欲しい本を見つけるのに時間も手間もかかる。
しかし、苦労するだけに欲しい本を発見したとき、まるで宝物を見つけたような感動があった。
お小遣いで買える本は限られており、買った本は大事に何度も読み返した。人生で何冊か人生を変えるほど心から感動した本がある。その本に出会ったときのことを今でも覚えている。本を見つけ、手に取って、読む。その一連の体験が「読書」だった。
検索をして1クリックで購入し、ポストに投函される便利さから今となっては離れられないが、店頭で表紙を見つけてわくわくしながら本を手に取りレジへ持って行ったあのときの記憶も宝物のようだ。
今でもリアル本屋に行くと子供の頃のわくわく感を思い出す。時間を忘れて本の表紙を眺めるのが好きだ。本屋には「検索」には無い無限の出会いがあると思っている。
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