15-8.デジマ島(2)


 サトゥーです。久しぶりに出会った友人とは時を忘れて語り合ってしまいます。たっぷりと話し終わった後に、お互いに誰だったか思い出せずに笑って誤魔化しあうのも様式美というやつなのでしょうか。





「とらみみ~?」

「狼耳の人なのです!」


 振り返った先にいたのは勇者ハヤトの従者であるルススとフィフィだった。

 公都で出会った時も接触の機会がほとんどなかったので、AR表示される情報がなかったら困った事になっていただろう。


 ハヤトと一緒に迷宮で戦っているはずの彼女達が、なぜこんな場所にいるかというと――。


「うわっ、ひっどい怪我ね……」


 アリサが二人の身体を見て絶句する。

 ルススは左膝から下と右腕が二の腕から先が欠損しており、フィフィも右足が根元近くからなくなっている。右目の眼帯も、ファッションではなく失われた眼球を保護する為のものなのかもしれない。


「ちょっと魔王戦でドジ踏んじゃってね」

「サガ帝国から義手と義足がくるまで戦力になんないから、ここでブラブラしてるんだ」


 ルススとフィフィは軽い口調で自嘲する。

 迷宮都市セリビーラでも部位欠損は珍しくなかったが、勇者パーティーの前衛を務める彼女達なら万難を排してでも癒やすはずだ。


「ロレイヤ様になにかあったのですか?」


 オレは勇者パーティーの高位神聖魔法の使い手であるおっとり系巨乳美女の名前を出した。

 彼女なら部位欠損も治せるはずなので、彼女が死亡し、なおかつエリクサーのストックが切れた状況なのではないかと思ったのだ。


「あの子はちゃんとハヤトと一緒にいるよ」

「リーンとメリーもね」


 名前の出なかった長耳ブーチ族で弓使いのウィーヤリィ嬢が気になる。


「二人とも、こんな往来で話す内容ではありません」


 体格の良い二人の陰に隠れて見えなかったが、彼女達の後ろには背の低い女性がいた。


 AR表示によると、彼女も勇者の従者の一人で書記官のノノという女性だ。

 交信でよく話した相手だが、通話機越しとは印象が違う。


 勇者ナナシ相手には凄くぶっきらぼうな口調なのに、ずいぶん普通の人みたいな感じになっている。

 もしかしなくても、彼女は勇者ナナシが嫌いなのだろうか?


 予想以上に背が低く、アリサとルルの中間くらいの背丈だ。

 顔は年齢相応だし、ボディラインのメリハリも十分なので、子供と間違えられる事はないだろう。


「ペンドラゴン子爵、二人の無礼をお許し下さい」


 ナナよりも無表情なノノが、オレにペコリと頭を下げて謝罪する。

 サガ帝国の人は謝るときに頭を下げる習慣があるようだ。


 オレ達は先ほどの話の続きというか、ハヤト達の現状を教えてもらうために、彼女達の泊まる高級宿に同行した。


「ぎ~?」

「ダリーもいるのです」

「ん、正解」


 子供達の視線の先には、ペンドラゴン家の紋章を付けた馬車が見える。

 ルルの姿はないが、マップ表示によると、行政府内にある御者達が集まる休憩所にいるようだ。


「ほんとね。向こうの敷地は行政府なのかしら?」


 アリサの質問に首肯する。


「この宿にいるってルルに伝えてきてくれるかい?」

「ん、了解」


 タマに頼んだつもりだったのだが、自信満々に薄い胸を叩いて引き受けてくれたのはミーアだった。

 念の為にタマとポチを護衛に付けて、ミーアにお使いを頼んだ。





「魔王の呪い、ですか?」

「ええ、『祈願の指輪ウィッシュ・リング』でさえ呪詛を祓う事ができませんでした」


 ルススとフィフィの部位欠損を治していない理由を尋ねたところ、勇者の文官ノノから「魔王の呪詛」が原因だと教えられた。

 AR表示される二人の状態に「呪詛」はない。


「そんなに見つめられると照れるにゃ」

「揉むか?」


 ルススが照れ、フィフィが下から持ち上げた胸を突きだしてくる。

 どうも胸を見ていたと勘違いしたようだ。


 フィフィは年下をからかうのが好きらしい。


「ダ、ダメよ」

「そうです、ダメなのですわ」


 左右からアリサとカリナ嬢がオレの腕を捕縛する。

 アリサの方はともかく、カリナ嬢に捕まった腕は至福の感触に包まれた。


「誤解ですよ。呪詛というのがどういうものか気になったんです」

「『魔王の呪詛』は見て判るものではありません。成竜の竜眼なら、呪詛を見破る事もできるでしょうが……」


 竜眼というと、宮殿騎士テンプル・ナイトのリートディルト嬢が持っていると言っていたヤツか――。


 精霊視スキルを取得したときの要領で、瘴気が見えないか試してみた。

 ダメ元だったのだが、視界の隅に微かに黒いうにょうにょ・・・・・・したものが見える。


>「瘴気視」スキルを得た。


 さっそく有効にアクティベートしてみたところ、ルススとフィフィを縛る黒い靄の鎖のようなモノが見えた。あれが瘴気――「魔王の呪詛」だろう。


 直接触って解せば除去できそうな気がするが、呪詛の要にあたる場所が心臓の真上なので、理由を話さずに実行するのは難しそうだ。

 後でアリサ達と相談して、どういうタイミングで呪詛を解くか決めよう。


 呪詛さえ解けば、ロレイヤの上級神聖魔法で部位欠損を修復できるだろうしね。





「魔王と『迷宮の主ダンジョン・マスター』が共闘ですか?」

「はい、私達もその確信を持てたのは前回の魔王戦の時です。それまでは魔王こそが迷宮の主ダンジョン・マスターとして君臨していると考えていましたから……」


 文官ノノにハヤト達の近況を教えてもらったところ、そんな回答が返ってきた。


「最初の二回で鼠魔王に転移で逃げられたから、三回目は転移を封じて圧殺する予定だったんだけどさ」

「『魔喰い縛鎖』って『神代の秘宝アーティファクト』で魔力を封じて、後は倒すだけって感じだったんだけど――」


 ルススとフィフィが三回目の魔王戦の時の話をしてくれた。

 それにしても、ここの魔王はイタチじゃなくてネズミだったのか。なんとなくイタチだと思い込んでいたよ。


「魔王が紫色に光ったと思ったら、『ましんがん』や『くれいもあ』とかいう勇者の国の武器を取り出してきて暴れ出したんだ」

「まったく、変身以外にも、あんな隠し球があるなんて思わないよ」

「あの時は死ぬかと思ったよね」

「その時にあたし達やウィーが大怪我しちゃったんだ」

「ハヤトがいなかったら、あそこで全滅していたよね」


 二人が言うには、「魔喰い縛鎖」の発動中は支援魔法も装備の魔法防御もすべて無効になっていたらしい。

 その中で有効だったのは勇者や魔王のユニークスキルだけだったそうだ。


 この「魔喰い縛鎖」は前にマキワ王国との戦争で、イタチ人族が使っていた「魔喰い」より遥かに強力な品らしい。

 恐らく現代技術で再現しようとした劣化コピー版が「魔喰い」なのだろう。


「それでも、ハヤトがあと一歩まで追い込んだんだけど、入り口から魔物が雪崩れ込んできて、その隙に逃げやがったんだ」

「ねぇねぇ、その話だと、魔王がダンマスでもおかしくないんじゃないの?」


 悔しそうなルススにアリサが尋ねた。


「魔王は『迷宮核ダンジョン・コア』に触れていなかったんだよ」

「アリサ殿下、迷宮の主ダンジョン・マスターが迷宮を操作する時は『迷宮核ダンジョン・コア』に触れる必要があるのです」


 ルススの答えを、文官ノノが補足してくれた。


 かつて、迷宮の主ダンジョン・マスターになった者から、直接教えられた情報との事だ。

 ノノは言葉を濁していたが、昔の勇者かその従者が迷宮の主ダンジョン・マスターになったようなニュアンスだった。


「先にコアを破壊すれば良かったんじゃない?」

「無理だよ、ハニーちゃん」

「そうそう、できたら最初からやってるってば」


 アリサの疑問に、ルススとフィフィが苦笑しながら否定する。


迷宮の主ダンジョン・マスターを倒さない限り、非実体の迷宮核ダンジョン・コアに干渉できないのです」


 ふむ、迷宮都市セリビーラの「蔦の館」にある偽核フェイク・コアは触れたが、本物の迷宮核ダンジョン・コアは影のような存在らしい。





「つまり、今後は迷宮の主ダンジョン・マスターと魔王を同時に攻略するわけですね?」

「はい、今の戦力では不可能なので、サガ帝国に援軍を要請しています」


 文官ノノの話だと、デジマ島の「夢幻迷宮」は毎回通路構成が変わる上に、中層付近で大きく枝分かれしており、最下層の魔王や迷宮の主ダンジョン・マスターがいる領域を探すのに多くの戦力を必要とするそうだ。


 オレの横に座ったアリサが、ちょいちょいとオレの袖を引く。

 視線を向けると、アリサの大きな瞳がキランッと輝いた。


 オレはこくりと頷いてやる。


「私達もご協力いたしましょう。魔王と戦うには力不足かもしれませんが、『夢幻迷宮』の迷宮の主ダンジョン・マスターを押さえる者も必要でしょう」


 サガ帝国からの援軍が役に立つようなら、その時点で交代すればいいし。

 それ以外でも、さりげなくハヤトを魔王に導けば討伐も楽になるだろう。


 迷宮の主ダンジョン・マスターの横槍がなければ、ハヤトが魔王を倒すのは可能みたいだしね。


「――では、ハヤト様が戻られて承認を得られたら先ほどの作戦を行いましょう」

「はい、ペンドラゴン子爵のご協力を感謝いたします」


 オレ達が迷宮の主ダンジョン・マスター探索に協力する線で文官ノノと詳細を詰め、最終的な判断はハヤトに任せる事になった。


「サトゥーとハニーちゃんはそれまでどうする?」

「わたし達は『夢幻迷宮』の雰囲気を掴む為に、日帰りで軽く迷宮に入る予定よ」

「あの迷宮は頻繁に迷路が変わるから注意しなよ」


 ルススとアリサがそんな会話を交わしていた。


 これがゲームだったら100回遊べるダンジョンになりそうだが、現実に攻略をする立場になると厄介この上ないのだろう。

 ハヤト達もイタチ人族の提供した魔王の方向を指す魔法道具マジック・アイテムがくるまでは中層から下層の探索に四苦八苦したらしい。


 ルススとフィフィの耳がピクピクと動く。

 それと同時にオレの聞き耳スキルが宿の外の喧噪を拾ってきた。


「なんだろ?」

「外が騒がしいね」


 フィフィが身軽に立ち上がり、杖を片手に窓に向かう。


「――イタチ帝国の飛空艇? それも快速の駆逐艦タイプのが三隻だ」


 フィフィが空を見上げて呟き、それに驚いた文官ノノが立ち上がる。

 王弟も帝都に招聘されているみたいだし、イタチ帝国の帝都で何か政変でもあったのだろうか?


 マップを開くと、過去にマーカーを付けた人物がその飛空艇に乗っているのが分かった。

 なぜ、彼女がこんな場所に……本当に中央で政変があったのかもしれない。


 ドタバタと階段を駆け上がる音が聞こえて、ノックも無しにサガ帝国の文官服を着た巨乳女性が部屋に飛び込んできた。

 名前を紹介してもらっていないが、サガ帝国デジマ島駐屯文官の人で、文官ノノの補佐のような仕事をしている人との事だ。


「大変です、ノノ様!」


 巨乳補佐さんが少し固まった。

 オレ達を見て来客中だった事を思い出したのだろう。


「何事です」

「は、はい! 実は――」


 文官ノノに促されてフリーズから回復した巨乳補佐さんが報告をしようと口を開いたが、それよりも早く闖入者が姿を現してしまった。


「お、お待ち下さい」

「邪魔よ、どきなさい」


 扉の外でサガ帝国の服を着た人が最後の抵抗を試みていたが、鎧姿の女性の強引な所作で押しのけられてしまった。


「あなたがサガ帝国の勇者? 初めまして、私は皇帝陛下直属の宮殿騎士団テンプル・ナイツの一翼を担うリートディルトよ」


 オレを見つめながらそう自己紹介をしたのは、イタチ帝国のモゲィバ市で会ったレベル57の宮殿騎士だ。

 なんだかよく分からないポーズをしているのはおいておくとして、どうもオレの黒髪を見て勇者ハヤトと勘違いしてしまったようだ。


「げ、くっころさんだわ」


 アリサが嫌そうに呟く。

 リートディルト嬢は追い詰められても「くっ、殺せ」なんて言わなかったはずだが、アリサの中では「くっころさん」であだ名が決まっているようだ。


「バレないですわよね?」

『大丈夫だ、カリナ殿。どっしりと構えているのだ』


 カリナ嬢が小声でラカにおどおどと尋ねていたので、オレは椅子から立ち上がり、リートディルト嬢の視線から隠すような位置取りをして歩み寄る。


はじめまして・・・・・・リートディルト様。私はシガ王国のサトゥー・ペンドラゴン子爵と申します」

「――えっ、シガ王国?」


 オレは勇者と間違えた彼女のミスを軽く流し、自己紹介を済ませる。

 自分の勘違いを悟ったリートディルト嬢が、絶句して表情を凍らせた。


 ルススとフィフィは警戒心を露わにし、クッションの陰に隠していた大ぶりのナイフの柄を掴んだ。

 ノノは毅然とした態度でオレの横に並んだ。


「宮殿騎士殿、勇者ハヤト様は魔王討伐の為に『夢幻迷宮』に出かけておられます。先触れの使者をいただけたら、宮殿騎士殿に無駄なお手間を取らせずに済んだのですが……」


 丁寧な口調だったが、明らかにアポイントもなしに訪れたリートディルト嬢を非難している。


「そう、なら仕方ないわね」


 非難された事にも気付かずにリートディルト嬢が呟く。

 宙を睨んで思案していた彼女が、視線をついっとオレに向けた。


「ねぇ、あなた。私とどこかで会った事はない?」

「あなたのような美しい女性との出会いなら忘れるはずはないのですが、いったいどこでお会いしたのでしょう?」


 オレはリートディルト嬢の手を両手で包み、ナンパ男のようなセリフで煙に巻く。

 彼女と会ったときは鼠人の着ぐるみ姿だったので「会っていない」と言ってもよかったのだが、嘘を吐くのはヤバイと詐術スキルと危機感知スキルが教えてくれたので、誤魔化す路線にしてみた。


「離しなさい、汚らわしい」


 リートディルト嬢がオレの手を払いのけ、汚物を見るような目で睨み付ける。

 彼女は潔癖症だったようだ。


 アリサが「まったくよ」と言いながらハンカチでオレの手を拭く。

 ――そういう挑発的な行動はやめなさい。


「私の竜眼が教えてくれている。あなた達とどこかで絶対に会っているはずよ」

「シガ王国の王都でしょうか? あいにくデジマ島に着いたばかりで、こちらの舞踏会や晩餐会には参加したことがございません」


 リートディルト嬢が確信を持った目で告げる。

 普通ならここで観念するところだろうが、彼女の目はわりと節穴なので誤魔化せると思う。


 後ろでぐるぐる目に滝汗をかくカリナ嬢が不安材料だが、アリサがなんとかしてくれるはずだ。


 そこにイタチ帝国で見かけた男性騎士が駆け込んできた。

 リートディルト嬢の随伴騎士だ。


「リートディルト様!」

「あら? 遅かったわね」


 必死な随伴騎士とは裏腹に、リートディルト嬢はオレから目を離さないまま、普通の口調で返した。


「勇者は留守みたい。それより、この黒髪の子に見覚えない?」

「いいえ、存じ上げませんが――」

「そう……おかしいわね」


 随伴騎士の発言に勢いをなくしたリートディルト嬢が、後続の随伴騎士達に連行されていった。


「皆様、リートディルト様の無礼にご立腹の事と思われますが、なにとぞご寛恕ください」


 随伴騎士の筆頭君が主人に代わって謝罪し、正式なお詫びは後日に必ずすると告げて去っていった。


「なんだか、魔王戦にも乱入してきそうね」

「戦力になるならいいじゃないか」

「まーね。格好良く魔王に突撃して蹴散らされて、せいぜい勇者やわたし達の踏み台になってもらいましょ」


 アリサの黒い発言に、文官ノノまで「それがよろしいですね」と昏い笑みをみせ、アリサと二人でホホホと嗤いあった。

 二人とも目が笑ってなくて、カリナ嬢だけでなくルススとフィフィの二人も怯えた目をみせていた。





「うっまー!」

「すげーな」


 ルススとフィフィが、ルルの作った唐揚げを絶賛する。

 リートディルト嬢の騒動の後に合流した仲間達と勇者の留守番組の交流を兼ねて、高級宿の個室を借り切って宴を開いた。


「おふこ~す?」

「ルルの料理は凄く凄いのです!」


 称賛の声を上げるルススとフィフィを見たタマとポチが、テーブルの上に足を踏み出さんばかりの勢いで主張した。


「うん、確かに美味しい。この赤い酸味のある果実が特にいいね」

「ウィー、次は何を取りましょう?」

「それじゃ、あの肉を巻いた棒状の野菜を頼む」


 弓兵で長耳族のウィーヤリィ嬢が、トマト料理に舌鼓を打つ。

 文官ノノが甲斐甲斐しく世話をやくのは、ウィーヤリィ嬢が魔王との戦いで四肢を失っていたからだ。

 介助役の人間は他にもいるようだが、ノノは自主的に世話を焼いているらしい。

 二人は仲良しのようだ。


「アスパラ肉巻きは美味しいと告げます」

「むぅ、素焼き」


 ウィーヤリィ嬢の選択に、ナナが頷き、ミーアが素焼きのアスパラの方が美味しいと異を唱えた。

 肉が食べられるようになっても、ミーアは油の多い料理は苦手なままのようだ。


「メインきたー!」

「やった~」

「なのです!」


 扉の向こうから現れたメインディッシュを見つけたアリサ達が喜びの声を上げる。


「お待たせしました」

「メインの牛の丸焼きです」


 リザとルルが巨大な皿をテーブルの中央に並べる。


 レベル上昇がもたらす強大な筋力のお陰だと分かっていても、がたいの良い男達でも無理そうな一トン級の牛の丸焼きを、年若い娘二人が運んでくる姿はなかなか非現実的な光景だった。


 港町なのに肉尽くしなのは、魚に飽き飽きしている勇者関係者に配慮しての選択だ。

 仲間達も魚より肉の方が好きだしね。


「ご主人様、どうぞ」

「ありがとう、リザ」


 リザが丸焼き争奪戦の戦利品の載った皿を、オレの前に置いてくれた。


「うん、美味い。リザもなくなる前に食べておいで」

「はい、ではお言葉に甘えて――」


 戦士の目になったリザが争奪戦せんじょうへ飛び込んでいく。

 丸焼きは瞬く間に姿を変え、ものの十分ほどでダシも取れないと思えるほど綺麗になった骨だけが残されていた。


 さて、お腹も一杯になったし、迷宮に行く前に少しやる事・・・を済ませておこう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る