プロローグ

――これは、ある少女が4人の男女に救われるお話――



 まだ幼い頃。


「貴方はどうしてこんな事すらできないのよ!」


 お母様に怒鳴られる。


「ごめん、なさい…」


 逆らったらきっと殴られるかなにかされるのだろう。


「はあ、美波、貴方はこんな奴なんかになっては駄目よ。」


 お母様が妹に私みたいになっては駄目、と言う。


「どうしてー?」


「どうしても何も無いわよ。

 だって」


「――失敗作、だもの」


 っ、


 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん、なさい。


 失敗作で…出来損ないで…


 ごめんなさい。



「美波!貴方、テストで学年一位ですって?流石だわ!」

「えへへっ、ありがとうお母様!次も頑張るね!」


 ずっと妹ばかり…


 わ、私だって!


「あの、お母様、私も高校受験、合格しました。

 受験、ほとんど満点で…」


「だから何よ。

 そんな庶民の学校に行って何になるの?

 目障りだから消えてくれないかしら。」


 やっぱり、こうなる、よね…


 偏差値70近いところに合格したんだけどな。


「…はい、失礼します…」


「はあ、失敗作のせいで気分が悪くなったわ。」


 ''失敗作''


 ''出来損ない''


 ''どっか消えて''


 ''最悪''


 ''近づくな''


 ''ゴミ''


 …嫌だ、聞き飽きた。


 疲れた…。


 こんな家、もう…


 ――捨てちゃえ。


 私は置き手紙を書いて家を出た。



―――その後


 初めての家出をした。


 住む家はメイドに用意してもらっているから確保済み。


 あんな家で唯一信用できたのがメイドだけだったしね。


「結愛様!また腕に傷が…!」

「大変!早く救急処置を!」

「結愛様…折角お肌も綺麗なのに…」

「本当、酷いですね…」


 学校で虐められたときにできた傷…

 お母様に殴られたときにできた痣…


 全て全て、メイドのおかげで大事にならず済んだ。


 メイドがいなければ今頃私はどうなっていただろうか…


「大丈夫ですよ、結愛様。

 私達は、いつでも結愛様の味方ですから。」


 いつも寄り添ってくれたメイド達。


 でも今日でお別れ。


 幸せな日々が送れると思った。


 そして私は今日から受かった月城学園高等部に入学する。


 そして人生初の友達も…


「結愛ちゃん!一緒にお弁当食べようよ!」

「あ、私も私も〜!」

「うん、いいよ!」


 でも、幸せはそう長くは続かなかった。


(いけない…教室にノート忘れた…)


 移動教室のとき、忘れ物で教室に戻ったら、


「あのさ、結愛ちゃんって良い子でめっちゃ可愛いけど、何かウザくね?」

「あ、わかる。自分良い子です的感やばくない?」

「でも、結愛ちゃん宿題忘れたら写させてくれるから友達のままにしとこ〜」

「だねー。」


 …ああ、此処でもか。


 私は此処でも、


「失敗作なんだ…」

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