人生の卒論
狼男
第1話 友也
友也は90歳の男性だった。ここはどこだ。暗闇だ。なにもない。すると、前から声が聞こえてきた。
「こんにちは、友也さん」
「だ、誰だ。」
「まぁまぁ、僕のことは置いといて、これからあなたにしてもらわなければならないことがあります。
あなたの人生を一万字で書いてまとめてください。」
「え、文章。意外だなあ。そもそもわしは生きとるんか。」
「仮死状態です。あなたは人生を終えました。そこで、生きていたうちにどんなことをしたのかを文にまとめていただきたいのです。」
「わかった。わしの人生をかいてみせるわい。」
そう友也が答えると、声の主は指パッチンをした。
すると、机と椅子と筆箱が出てきた。暗闇だったが、一部明るくなった。
「さあさあ、取り組んでください。書いている間は私は席を外します。終わりましたら、一声かけてください。すぐにかけつけます。」
そう言うと声の主はいなくなった。
友也は机にすわり、筆を執り、文章を書き始めた。
それから、20分後、書き終えた報告をした。
すると声の主は現れた。黒いマントに仮面をかぶって現れた。
「お疲れ様です。今回の添削者、検閲者は私です。よろしく!!」
「あ、ああ」
「すごい人生ですね。戦争を経験なさっている。そこで瀕死状態になるも生還している。そして戦後はお金持ちになり、結婚して、孫も生まれ、幸せな老後を過ごされておる。」
「あ、ああ。幸せだった。うまく行かないこともあった気がするが、家族が支えてくれた。」
「後悔はありますか。」
「ある。受験で滑ったことかな。第一志望の国立大学に行けなくて、なくなく私立大学にいったことだ。学費も高く、親に迷惑をかけた。」
「なるほど。わかりました。今回は合格です。あなたは人生でやるべきことを達成しました。あなたは今の記憶を持って、高校生の木下涼になってもらいます。大学受験を後悔されているそうなので、もう一度経験できます。がんばってください。私の正体は最後に明かしましょう。」
こうして、友也は意識が遠のき、高校生の木下涼になるのだった。続
人生の卒論 狼男 @shinshin4445
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