50-0魔王様、最後の準備をする

 ハレ達がびっくりしている。


 事前連絡無しだからね。


 ゲートを開けて、みんなが入ってくる。


 みんなには、すでに指示を出した。

 すぐに散って各々準備を始めてくれる。


 美紗が僕の横に立ち、そしてルナのところ歩く。


 美紗は何も言わずに、ニカッと笑った。


「ミサちんの、ぶぁかー! 帰ってくるなら連絡寄越せぇ!」


 ルナは叫んで、美紗に抱き着いた。


「おぉヨシヨシ。やっぱ、ルナはこうでないとな」

「こうでないとってどーゆーことかな!? ジェイドくんもだよ!?」


 僕は巻き込まれないために離れる。


「逃さないんだからね! 【禁忌魔法】『真詠』起動!」


 ナニソレ?


 フーリムとジャックが一旦僕のところに駆けてくる。


「ルナにラーニングされた!? あっちの方が高性能だし!」

「やべぇよルナ。人生丸ごと見られるヤツだぜアレ」


 二人が混乱する程に?


 ルナはしばらく僕を見つめ、止まっていた。


 突然ハッと意識を取り戻したかと思えば、僕に背を向けて逃げようとする。


「美紗、ジャック、フーリム、ルナを確保せよ」


 僕の命令で、ルナは秒で捕まった。


「ジェイドくん? いきなり、ナニしようとするのかな?」


 これは見抜かれたね。


 頑張って隠していたけれど、フーリムとジャックはルナの心を見聞きして理解したようだ。


 3人でプルプルしている。


「もうすぐ魔王城が神々との戦場になる。あんまり被害を出したくない。だから、協力してくれない?」


 ルナは首を横に振る。


「待ってください、父さん。事情の説明もそうですが、ルナに無理矢理というのは、僕が許さない」


 ハレ、イケメンになったね。

 美紗が発作を起こしてるよ。


「最高神2柱を含む全ての神と事を構えるの。被害無しで終わらせたくないの?」


 でも、関係無い。

 ハレには悪いけれど、僕は全力で、本気で、戦うと決めた。


 誰にも邪魔はさせない。


 ハレは目を閉じて考えながら言う。

 

「父さんや母さん達がここにいるということは、ベガオ神が約束を破った。それで父さんが怒るのは分かる。僕としても、ベガオ神に約束を破られたものだから」


 ハレはそう言って、ルナの前で腰を落とした。


「ルナ、聞いてほしい。父さんがまたメチャクチャなことをする、ということを知ったんだと思う。でも、それが本当ならベガオ神やガイ神も、ここに来る。全部を、それこそ消し去るつもりだろう。あの時みたいに」


 ……どうやら、僕らが地球に行った時にも何かあったみたいだね。

 余計とぶん殴ってやらないと気が済まなくなってきた。


「……分かった。協力するよ。でも、私は参戦しないし、ハレにも戦ってほしくない!」

「ルナ、僕は戦――」


 僕はハレの口を塞いだ。


「ハレは戦わなくて良い。向こうも、ハレ対策は取っているはずだから。ルナも戦わなくて良いよ。約束しよう」


 美紗が捕捉する。


「戦うのは基本、俺とみーくんだけな。スポットで子供達を投入する場面はあるが、ギリも今回は後ろに下げる。無敵化を守りに使う。気にすんなよ、俺だって孫の顔は見たいからな」


 孫?


 ルナのお腹を見る。


 何ということでしょう!?


 そっか……僕はおじいちゃんになるのか……早くない?


「……おめでとう、ハレ、ルナ。だったら、尚の事前線に出ちゃダメだね。この戦いが終わったら、孫のために色々な準備をしなくっちゃ」

「ジェイドくん! それフラグだから!」

「じゃあそのフラグとやらを圧し折るための情報、いただこうかな」


 僕がこういうと、美紗は笑い、ハレは呆れた顔をして、ルナは溜め息を吐いた。


 神々の動きからして、あと2日だろう。


 美紗が言う。


「お前らみんなよぉく見とけよ? きちっと事前準備したみーくんがどれだけ恐ろしいか、最終決戦において初お披露目だからな。心躍るか、魂を震わせるか、何にせよ衝撃だからな。全員、メンタルしっかり保っていけよ!」


 失礼だなぁ。


 みんな、もう震えてるじゃん。


 タナシンの時は不意を突かれたけれど、準備をちゃんと整えて迎え撃つのは初めてかな?

 ハーゲもなんだかんだ正体不明だったし。


 まぁ、みんなの期待に応えられるよう、頑張って準備するよ。


 門音未来こと、魔王ジェイド・フューチャーの全力の本気、見せてあげる。



ーーーー Norinαらくがき ーーーー

本気のジェイドくん見せつけるまで、残り◯話。

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