本屋クエスト

Tonny Mandalvic

本屋が消えるまで

 昔々、小さな街にに、小さな本屋がありました。

 小さな本屋は、地元の人に利用されていました。

 車も新幹線も高速バスどころか高速道路もなかったので、その町に住んでいる人が本を手に入れるためにはその小さな本屋に行って本を買っていました。

 他にも小さな街の本屋では高校の教科書を売ったり、学校の補助教材を売っていました。

 そのころ、小さな街の本屋にない本を街の人は取り寄せていましたが、取り寄せるのに時間がかかっていました。

 客「すみません。ここにないこの本が欲しいんですけれど。」

 店主「あるかどうか確認して2週間から1か月ぐらいかかるよ。」

 このような調子でした。

 そのうち、大きな街に就職するため、小さな街から人が大きな街に行くようになりました。すると小さな街の本屋は活気が減っていきました。

 正月や盆に街に戻ってきた人が、大きな街の本屋はすぐに本が手に入ると言っていたので、本好きの人たちは、大きな街の本屋を羨ましがっていました。

 すると、高速道路や新幹線ができて物流が発展していきました。

 そして隣の街に大きな本屋ができました。

 小さな街の人たちは大きな本屋ではすぐに様々な本が手に入るので喜びました。

 小さな街の本屋には人が来なくなりました。当然です。自分たちの欲しい本が手に入らないからです。

 そのうちインターネットという便利なものができ、それは双方向の通信によるやり取りを可能とするものなので、介して商品の購入がができるようになりました。当然ながら本も手に入るようになりました。インターネットの便利さに気が付くと、通販サービスが拡大し、大きな本屋がなくてもすぐにインターネットで注文して家で受け取ることができるようになりました。

 そうして小さな街の本屋は誰も来なくなり、人も子供もいなくなったので、教科書も売れなくなったことから、店をやめることとなり、街から本屋が消えました。



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本屋クエスト Tonny Mandalvic @Tonny-August3

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