【命に価値はあるのか】に対するごく当たり前な答え

エテルナ(旧おむすびころりん丸)

【命に価値はあるのか】に対するごく当たり前な答え

なにやら重いタイトルですが、今回はソフトにいこうと思います。


「人の命に価値はない」という台詞、魔王やらラスボスやら、超越者っぽい奴が言いそうな台詞だとは思いませんか?

万一こんなやつらと出会えた時には、あなたは自信を持ち主人公らしく――


「人の命に価値はあるんだ!」


と、言ってやりましょう。

なぜなら価値を感じる者が存在する以上、この社会に価値がないことを否定することはできないからです。


魔王やらラスボスやら超越者やら、ここでは一貫して魔王と呼びましょう。確かに魔王さんにとっては、人の命に価値はないのかもしれません。

しかしそれを個人で思うのは別として、主人公や人類、社会に向けて発信するのなら、それは全く別問題です。


例えばあなたはカレーが大嫌いだとします。あなたにとってカレーは価値のあるものではありません。

しかし、この世界にカレーを好む者が存在し、カレー産業が栄えている以上、社会にとってカレーの価値がないとは言えません。

カレーに価値があると感じる人がいる以上、あなたがどう思おうが、カレーの価値は存在しているのです。


つまり魔王さんは、個人問題と社会問題をごっちゃにしているのですね。


以下はネットに挙げられた「価値なし」とする意見の一例です。


【「命の価値」というのは、私は無いと思います。「価値」というのは他のものと取り替えられるものにつきますよね?でも、命は交換も譲ることもできません。命というのは、最も大事だけど価値はないものと思います】


Wikipediaより抜粋。

価値とは、あるものを他のものよりも上位に位置づける理由となる性質、人間の肉体的、精神的欲求を満たす性質、あるいは真・善・美・愛あるいは仁など人間社会の存続にとってプラスの普遍性をもつと考えられる概念の総称。殆どの場合、物事の持つ、目的の実現に役に立つ性質、もしくは重要な性質や程度を指す。何に価値があり、何には価値がない、とするひとりひとりのうちにある判断の体系を価値観と言う。


weblio辞書より抜粋。

1.その事物がどのくらい役に立つかの度合い。値打ち。「読む―のある本」「―のある一勝」

2.経済学で、商品が持つ交換価値の本質とされるもの。→価値学説

3. 哲学で、あらゆる個人・社会を通じて常に承認されるべき絶対性をもった性質。真・善・美など。


【「価値」というのは他のものと取り替えられるものにつきますよね?】

何を根拠にこの前提を問うているのか知りませんが、このように回答者が勝手に決めた価値の定義で勝手に命の価値がないとするのは、回答者の己の中では勝手です。(恐らくweblioでいう2番の中の、更に交換価値のみを局所的にピックアップした、狭義の価値から出した回答でしょう)

ですが、広義の価値の中には、真・善・美など代替不可能なものが含まれているとされています。


Wikipediaやweblioが絶対に正しいとは限りませんが、これらを読んで共感できる人にとっては、価値は記述の通りの定義です。

そして代替不能な命にも価値を感じる人がいるならば、価値なしと述べた回答者も、広義の価値まで存在しないとまでは言えないはずです。


だって価値を感じる人が現実にいるのは事実だもの。

カレーの定義と同じで、回答者にとって価値が無かったとして、現実にあるカレーの需要までもが存在しないとは言えないはずです。

カレーに価値を感じる人がいる限り、同じく人の命に価値を感じる人がいる限り、社会的に価値がないと証明することはできません。

くどいようですが、だって価値を感じる人が現実に存在してしまうんだから。


価値という大項目の内にある金銭・交換価値、そこから更に狭く、もっと深く的を絞れば、特定の価値がないとは言えるかもしれませんが――


筆者が思う真に価値のない状態は、物事を区別する存在が消えてしまった時だと考えます。

生物が絶滅した時には、人という区分、食べものという区分、命という区分の必要がなく、ただ素粒子がある場所とない場所というだけの世界になり(これすらも区分する存在はいない訳ですが……)、人の定めた価値という区分もなくなります。


逆に上記がまったく価値のない状態だとしたら、区分できる生命が存在する限り、相対的な価値は存在するとも言えます。

濃淡や度合いこそあれ、価値自体は多少なりとも存在しているということです。


今回は哲学者のソシュールを参考に書いてみました。

以上が――個人的な価値観はお好きにどうぞ、ただし社会的に命の価値は存在する。だって現に価値があるとする者が存在してるから――というお話でした。

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