第2話 らいかんさんお手伝いをする。

おはようございます…らいかんです。

種族的に早起きはとても苦手です。


でも、村の皆さんは朝に目を覚ます。

なので個人的に昼夜逆転の生活なのですが、頑張って毎朝起きています。


 ※


今日は、朝からお隣のおばあさん家の草むしりと巻き割りのお手伝い。

終わったらおばあさんが朝ご飯をご馳走してくれるそう。


コケッコーの玉子をお裾分け。何を作ってくれるかはお楽しみ。

オムレットだと嬉しいなぁ。


「おはようございます!マリダおばぁちゃん。」

「早いわねらいかんさん。おはよう。今日はお手伝いありがとうねぇ。」


「いえいえこちらこそ。朝ご飯が楽しみで目が覚めちゃいました。はいこれ、コケッコーの玉子のお裾分けです。」


「まぁありがとう!それではオムレットでも作りましょうか。」

「やった!草むしり頑張りますよ!」


フフッ。作戦大成功ですね。(ニヤリ

わたし料理が苦手なんですよ。生まれがライカン村なので。

火を使った料理なんて、丸焼きぐらいでしたからね。

オムレットなんて自分で作れる気がしません。


「それじゃ申し訳ないけど。お家の東側の草むしりをお願いねぇ。」

「はーい。終わったら声を掛けますね。」


承ったとおり、お家の東側の草むしりを始めましょう。

季節は春も終わり。そろそろ暑くなる季節。

雑草の成長も顕著になる頃なので、丁寧に抜いていきます。


草むしりは朝早く。

暑さもしのげ、蚊や蜂などの虫も活発じゃないから捗るの。

これ。マリダおばあちゃんに教えてもらった草むしりの教え。

ライカンやってると時間的に辛い教え。


最近は、クエストとか忙しかったから久ぶりなんだよね。

マリダおばあちゃんのお手伝いとオムレット。

コケッコーの玉子も昨日のクエストで見つけて手に入れた新鮮なもの。


うん。綺麗に出来きました。

さてさて、次は巻き割りです。


ライカンスロープは力持ちですので、片手でサクサク切っていきますよ。

残り半分のところで、背後から何かを感じるのだけど?


振り向くと、聖騎士の身なりをした女の人がわたしに剣を向けている。

きっと、また魔物が人を襲っているって勘違いされてるのかなー。

見たら蒔割りしてるってわかるじゃんね?


「あの。わたし悪いらいかんじゃな…ひょええええ!」

聖騎士お姉さんのレイピアが心臓を狙って突いてくる。


こわぁああ。

このお姉さん速いわぁー。強いわぁー。

でも、わたしはもう少し強いですけど。


レイピアの突きを蒔割り用の斧で止めてやりました。

そして。わたしは改めて言うのです。


「わたし悪いらいかんじゃないよ;;おばあちゃんの薪割り手伝っているんだよ。」


この様なことは、らいかんやってると良くあること。

だから、ここは丁寧に話すより、子供のように少女のように懇願するのが一番なのです。


「えっ!?ま…魔物がしゃべった?悪い…らいかん…え?」

ほらね!


聖騎士のおねえさんは、わたしから距離を取り困った顔をしています。

その顔。みんな初めはそうだから、構わないですけどね。


「ほ…本当に、薪割りのお手伝いをしているの?」


「はい。草むしりと薪割りのお手伝いをして朝ご飯をおばあちゃんからご馳走になるのです。それとわたし…」


首に架けている冒険者プレートを出そうと胸元に手を入れたら、また剣を向けられる。もう大丈夫なのに~!

なので、ゆっくりプレートを出してどや顔で言ってやったのです。


「それにわたし。この村の冒険者なのです!」

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