アニメオタクの本屋での1日

五三竜

本屋という名のダンジョン

この街の本屋は大きい。外から見ても中から見てもとても大きい。中に入ると、本が壁のように並べてある。1つ1つ丁寧に並べられている本は、汚れ1つ見つからない。


「さて、今日もひと頑張りするか」


そう言ってカゴを取って店の角まで歩いていく。この本屋は本棚が全て同じ向きに並んであるため、角から1つずつ見ていくのが定石だ。


「よし・・・まずはこれだな」


早速本を見つけた。漫画だ。それも、美少女がメインの本だ。


「まずは1つ目だな。この調子だと、今日はすぐに見つかりそうだ」


今日は調子がいい。この本屋には漫画以外にも多くの本があるため、漫画を、更に好きな本や興味がある本を見つけるのは至難の業である。


「フフフ、今日は楽しいな。いつもは首が痛くなるところなんだが、いきなり欲しかった本を見つけたからな」


そう言ってどんどん見ていく。半分来たところで問題が起こった。


「この本は高すぎだろ。忍者でも取れないぞ」


そう、なんと1番上にあるのだ。これは自分の身長では届かない。そういう時はこれ。自作の組み立て式脚立だ。普段は折りたたんでいるのでコンパクトで使い勝手が良い。


「よし・・・届い・・・た・・・!」


何とか届いた。だが、こんなことで喜んでいられない。早く進まないと日が暮れてしまう。急ピッチで探さなくては。


「これと・・・これと・・・あ!これに・・・これもあったのか!」


夢中になって探していると、いつの間にかカゴの中は本でいっぱいだ。それに、もう目の前にはレジがある。しかし、ここからが最大の試練だ。自分のカゴの中には漫画が沢山ある。当然その中にはあっち系の本もある。そして、店員さんは女性だ。


「ま、気にしないけど」


本の入ったカゴを堂々とレジに出した。レジの人は本を通していく。


「ん?」


まさかの気づかれなかった。幸運だ。そして、今日も何事もなく店を出る。これがアニメオタクの1日だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アニメオタクの本屋での1日 五三竜 @Komiryu5353

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ