第29話 新たな未来(3)
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生まれた子供は男女の双子。
名前は
仁は人を大切に思いやるという意味。天は仏や神が住むところ。
そして双子は天才霊能力者であると云う事が発覚した。能力にいち早く気づいたのは颯さん。
産まれてまもなく二人がテレパシーで会話をしているのを聞いたらしい。
仁と天が産まれてから毎日はとても忙しかった。子育てに、魔物浄化に、音楽家としても頑張っていた。
特に子供たちの世話は昼夜問わずに手が掛かるので、”立っているものは親でも使え”というし、一家総動員で子育てに協力してもらった。
その中で兄に非常に懐き、兄があやすと笑顔を見せた。おむつ替えも機嫌よくやらせた。眠くてぐずっても兄があやせば一発で止まった。ミルクも上手に飲ませているし、非の打ちどころがない子育てだった。
そんなわけで、メインの子育て担当は兄に決定した。兄は「何故!」と抵抗したが、子供たちが兄に懐いて選んだのだから仕方が無いと思って諦めて貰うことにした。
私達夫婦も当然愛情たっぷりに子育てしているのに、何故か兄の方に懐いている。
納得いかない兄は「お前達の子供だろう?!何で俺の方に懐くんだよ・・・。。」と正論で文句を言ったが、私達のせいじゃないからどうしようもない。
「お兄ちゃんゴメンね。なるべくお兄ちゃんの負担にならないようにするから、暫くの間協力してくれる?」と上目遣いにお願いした。
そんな私の仕草に弱い兄は「しょうがないなあ。」と言いつつ協力してくれることになった。
その後、仁と天は兄にこれでもかというほど天使の笑顔を振り撒いて懐き、兄は子供たちの可愛さに陥落し、なし崩し的に養育担当になっていったのだった。
そして、そんな様子を見ていた颯さんは肩を揺らして笑いを堪えていたのは、気付かなかった。。
後で、これは子供たちが忖度したのだと云う事を教えて貰ったのは兄には内緒だ。
赤ん坊のうちから忖度出来るなんて凄い!と、素直に思った私だが、ごく普通の子供はそんな事出来る訳がないと云う事を、私は忘れていた。
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仁と天の脳内会話(テレパシー)
「仁、お父さんとお母さん、毎日大変そうだね。」
「うん、僕たちが生まれてから毎日大変だと思う。」
「お父さんとお母さんに私達が出来る事って無いかなあ?!」
「う~~~ん。あ、そうだ!叔父さんに頼るってどうかな?!」
「どういうこと??」
「叔父さんに僕達の事ちょっとだけ多目に面倒見て貰えば、お父さんとお母さんも
少し時間出来るかも。」
「なるほど。じゃ、どうやって叔父さんにアピールするの?!」
「それは、”叔父さん好き好き大作戦!!”さ。」
「じゃ、叔父さんには良い子にしていれば良い?!」
「うん。良い子にしていれば叔父さんにもあまり迷惑かけないと思うし、面倒見てもらう代わりに一生懸命笑顔でお礼を言えば分かってくれると思うし、将来の勉強になるし。お父さんとお母さんは時間出来るし、いいことずくめだね。」
「じゃ、早速作戦開始!!」
「おー!」
この会話を聞いた颯さんは目が点になりながらも、知らないふりをして何も言わなかったらしい。
そして子供達は兄に懐き、愛嬌振り撒いて、大して困らせる事なく、上手く立ち回ったのだった。
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目まぐるしい日々はあっという間に過ぎて子供は1歳になっていた。忙しいけれど充実している。
ある日、海外武者修行を終えて帰国した結芽が我が家へ来た。
結芽はピアニストとして少しづつ有名になっている。ネットの動画投稿サイトに投稿していて、日本全国の美しい景色を背景に時には切なく優しく、時には神秘的だったり躍動的だったりと、景色に合わせて選曲し、煽情的に弾くピアノの音色は評判になっている。動画がきっかけでリサイタルのオファーが全国から来ているらしい。彼女の弾くピアノは優しく素直な音色なので私は大好きだ。
「明日香久しぶり。会いたかった。」
「本当、此処へ来るのも卒業公演の時以来だね。」
「うん。いろんな意味であの日は一生思い出に残った一日だった。」
「ふふふ。ホントにそうだね。あ、お兄ちゃん、今来ると思うから。」
そう言うと、結芽の顔が赤くなってしまった。
「ところで、子供達に会わせてよ!!楽しみにしてたんだから!」
「ぷっ!!!お兄ちゃんが連れてくるから待ってて。」
そう言ったら更に赤くなってしまった。
そして、照れ隠しするように話を変えた。
「明日香、良かったらなんだけど、動画に明日香も出てくれないかな。」
「いいけど。何演奏するの?」
「これから決めようかなって。」
「なんだ。そうなんだね」なんて話をしていたら、兄が子供たちを両手に抱えて連れて来た。
心なしか息が上がってゼイゼイ言っている気がする。
「結芽ちゃん、久しぶりだね。」
「青蓮さん、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。」
「元気だけど、この子達の世話が大変なんだよ。」
「え!青蓮さんが面倒見てるんですか?!」
「うん。明日香たちが浄化に出かける時に預かってたら、俺にすっかり懐いてね。泣いても俺があやすとすぐに泣き止むし、おむつ替えもやミルクも俺の方が上手に出来るんだ。今では俺が中心で子育てしている感じだよ。」と言って苦笑いした。
「あらまあ。大変ですねえ!イクメンってやつですね!」
「ハハ!完全に親を間違えてるね。」
そう言って二人で寄り添い、談笑している姿に二人の未来を見たのだった。
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末恐ろしい双子。どんなふうに成長していくのでしょうか。作者も分からず(悩)
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