閑話② Which memory is true?〈1〉




ばんちゃ〜!!(耳を傾ける)

色々察している皆様には、この話を提供しようとご用意しました。(なんの話だよ)


 作者今まで本当の記憶がどれかなんて言ってないっすからね〜(口笛を吹く作者)

 もしかしたら「キャラ崩壊じゃん」「そんなとこ見たくない!」ってなったらゴメンナサイ(泣)


お許しを。もしあぁ〜!ってなったら乖離しながらお読み下さい。


最近クソ不定期になっててすみません。

迷ってた理由は、本編の修正を同時並行でやってたら書けなくなったからです笑

話自体は30ちょっとまで書いていたんですが、「あれ?このまま書き続けたら⋯⋯あたい、最終話まで直さずに書ききりそう」となっていたのでこういう手段になってしまいました。


はい。長いですね。伝えたいことをまとめられませんでした(泣)




















ゴォォォン──。

どこもかしかも硝煙と死体の臭い。

血生臭い糞みたいな死臭と誰がなんだか分からん臓物、それと携帯食料や色んなものが腐った臭いがスーパーミックスされたと言えば理解出来るだろうか。



ここは◯リ◯の中心から少し離れた北東に位置する◯リゾール。


ここでは、つい数時間前まで内戦が起きていた。


政府と◯◯ラムとの激しい攻防戦を繰り広げていた⋯⋯と─────思うか?



「お〜い」


疲れきった声。声を出すのも億劫なのだろう。

そう呟くと、吐息で話すようにパサパサ何か言っている。


「誰か〜?」

「生存者がいたのか?お前さん以外には?」


疲れ果てた青年が見た者は、大きく中年層らしき兵士一人。大きい兵士が青年の肩を組んで一緒にテントまで向かっている。


「いない」


呼吸もままならない掠れた声で余韻を残しながらそれだけ発した。


「そうか。よく生き残ったな。さぁ、後は元気よくお家までハイキングに行けると思えば脳みその糞も──少しは楽になるんじゃねぇかい?」

「冗談ばっか言っちゃって⋯⋯」


そう青年が返すと中年の兵士と共に「ははは」と絶望を感じさせる乾いた笑いが響いた。



**

「さぁ⋯⋯着いたぞ」


青年の瞳に映る景色──。

それは自分達が戦っていた街の状況とは一線を画した光景だった。


何故か酒を飲みながらゲラゲラ笑い声を上げる若い兵士達に、軍医ですら暇を持て余している様子。青年はとても状況の理解をするのに数分の時間を要した。



「こっ、ここは⋯⋯」


吐息混じりにそう呟く青年の頭を軽くポンと手を置く中年の兵士。


「ちょっとそこの椅子に座って待ってろ。水を取ってくるよ」


青年は発するのがもう限界で、ギリギリの体勢で一礼する。


'何が起きているんだ'

そう呟く彼の名前はヒューズ・ジョンソン。24歳の中尉だ。


彼はかなり優秀の出で、エリートコースを歩むかと思えば、「しっかり現場を知りたい」という理由で兵から始めて今の場所まで最短コースで走ってきた優秀な男だ。


歳不相応のコースを歩み、仮に今年である程度の結果を残せば──もう大尉の昇進もあり得る程といえばいいか。士官から始めた訳じゃなく、現場で好成績を残した上でこの役職にいるのとではワケが違う。


 そんな彼はここ北東ではなく、北西にあるアレ◯◯の戦地で身を投じていた。

 だが、反抗勢力の指揮が上がり、政府軍の後退を余儀なくされる。


急いで戦地外まで駆け抜けていた政府軍だったが、追撃に反抗勢力から追尾式の迫撃砲の流れ弾が見事的中してしまい、彼を除く属していた小隊の全員が戦死した。


彼は決死の覚悟で走り続けた。

仲間達が被弾直前──一番被害を無くすために自分だけ逃がそうとしたからだ。


絶対に生きて帰らなければならない。


待っているフィアンセの為に。

失ってしまった家族同然の仲間達の為に。

そして基地で待っている同期達とまたアホみたいな事をするために。


だが、どうだろう。


目の前にいるこの愉快にも戦場とはとても思えない体たらくっぷりは。


果たしてこんな状況の指揮を執っているのは一体どんな奴らなんだ。


「待たせたな──って、どうしたんだ?そんなイライラして」


なんだなんだとおちょくる様に笑みを向けながら、両手に持っている補給用コップのかたっぽを渡す中年の兵士。それをヒューズは丁寧に頭を下げてコップに入っている水をたった一口で飲み干してしまう。


「すまない」


そう恥ずかしそうに発し中年の兵士にコップを渡す。なんとなく分かっていた中年の男はもう片方のコップも微笑みを向けながら渡す。


「っッ⋯⋯これは失礼」

「いいってことさ!それで?おたくの名前はなんていうんだい?あ〜!悪いな。人に聞く前に名乗らねぇとな!俺は、ヘンリー・ロビンソン。曹長だ」

「私は中尉、ヒューズ・ジョンソンです!ヘンリーさんのお話は度々耳にしております!」


敬礼をしてから、そうフォローするように包むヒューズ。


「そういうのは不要だ、エリート君。ヒューズといえば、いつだったか〜⋯⋯共に赴いた事もあったような気がするな〜」


そう言いつつ、手に持っている木製のジョッキをゴクゴク喉を鳴らしながら酒を飲んでいる。


「あの!こんな事を申し上げるのはいけないとわかっているのですが!」


ヒューズが立ち上がり、迷っていたことを口にする事にした。


「あなた方は一体何をしているのですか!?何が起きているんですか?」

「あぁ?あぁ〜それもそうか」


不思議そうに一瞬するが、エリートであるヒューズを見てなんとなく理由を察したヘンリーが声を出そうとした時──近くから数人の話し声が聞こえる。


『おい〜!またババ引いちまったよぉ〜!』

『おいくそリード!!』

『お前ら落ち着けって〜』


'ん?'

ヒューズが耳を澄ませる。


大体子供くらいの話し声だ。ここは戦地の避難キャンプでは無かったのか?


「ヘンリーさん」

「どうした?」

「この話し声は──」

「やっぱり知らなかったか」


そう余韻を残しながら声の聞こえる方へと顔を向けるヘンリー。対して理解が出来ずにその方へと一緒に向くヒューズ。


沈黙が始まってから10秒ほど経った頃、静かに堅い口調でヘンリーが独り言を始めた。


「こりゃ〜ジジイからの忠告だから、聞かなくても構わん」

「え?」

「あのガキ共に精々反抗だけはするな?死ぬぞ──お前が」



左右テントが張り巡らせている中央。そこでは10人程の子供⋯⋯と呼べる身長しかない子らが、似つかわしくないARとついているスリングベルトを肩から斜め掛けで仲良く歩いている。


その絵面は一瞬笑えるかもしれない。

こんな状況だ。

護身用として持っている可能性だってあるし、子供と考えれば威圧にもなる。


 だがすぐにその可能性は潰える。何故なら笑っている少年少女の綺麗な顔には──返り血がベットリ付着しているからだ。

 そして明らかに偶然とは思えない防弾チョッキに、重装備の収納出来るポケットにはナイフ、工作するようであろう工具、更には手榴弾や目くらましのモノまで入っている。


それを見たヒューズはすぐにただの子供達ではない事がすぐに分かる。使い込まれているブーツや使う武器を見れば、すぐに違いがあるからだ。


「ヘンリーさん──」

「お前──聞いたことがあるか?史上最高といわれた特殊部隊より、優れている子供●●が居たら」

「そんなわけありません。子供が束になったところで、大人⋯⋯トレーニングを積み、座学を学び、実戦経験を得た優秀な兵士より──たかが子供に越えられるわけがありません」


明らかに「不快」と言うように両眉を寄せるヒューズ。だが、ヘンリーはすぐに返事を返した。


「その認識ならここに居ないほうがいい。あのガキの言う事は絶対に聞いておけ●●●●●●●●。俺は言ったからな?」

「それはどういう」


ヒューズが困惑を表情に浮かべる。そして頭を軽く指で掻きながらその様子を観察している。



「なぁ?コルト」

「あ?んだよリード」

────────

コルト・ハリス(11)┃

────────

─────────────

リチャード・ソル・ミラー(19)┃

─────────────


ブルネットの髪色をしている少年はコルト。そして横並びの端から呼ぶ声の青年はリード。


ぶっきらぼうに返事を返すコルトに苦笑いを向ける。


「なんだよ〜、まだ一時間前の事で怒ってんのか〜?ちょっとミスっただけだろ?」

「はぁ〜!?リードがもうちょっとしっかり動いてたら一瞬で30は行ってたね!」


口喧嘩がドンドンヒートアップしていき、両端にいた二人が近寄る。


「何やってんの?あの二人」

──────────

ニック・スコット(14)┃

──────────

「知らないよ〜、さっきのあれでキレてたんじゃない?」

───────────

シェイラ・エドワーズ(13)┃

───────────


喧嘩している二人が遂に立ち止まり、それを見たニックとシェイラも立ち止まる。


「おい!ニック!!俺悪かったか!?」

「知らないよ。そもそも終わった事を蒸し返してババ抜きに負けたくらいで当たり散らしてるコルトが悪い」

「なっ!?」

「私もそう思う」

「シェイラ!?みんな⋯⋯なんで!」


絶望しているコルト。そのまま地面に両膝をつき、リードに向かってハンカチを投げた。


「なら──勝負だ!リード!」

「うわ、始まったんだけど──コルトの奴」

──────────

グロリア・ベイカー(16)┃

──────────

「まぁ仕方ないよね⋯⋯ずっとああだもん」

───────────

ライアン・トンプソン(15)┃

───────────

「はぁ⋯⋯早くどうにかしてよ〜!」

─────────────

ダリア・ローグ・バネット(17)┃

─────────────


ダリアが駄々をこねるように、置いて先にいっている3人に向かって言葉を放つ。


「なんだよ?さっさと連れてきなよ──今は点検が先だろ?」

──────────────

マキナ・テイラー・ガルシア(18)┃

──────────────


先に歩いている3人も足を止め、タンクトップにパーカーを着ているマキナが腰に両手を当てながらコルトに説教をしている。


「ほら〜、だから言ったのに〜」

──────────

シンディ・ゴールド(10)┃

──────────


シンディが溜息混じりに喧嘩している方へと向かう。だが、その表情は何処か嬉しそうにも見える。


「あのな?俺とお前が戦ったところで、勝てるわけ無いだろ?」

「なんだと!?やって見なくちゃ分かんないだろ!」


喧嘩している二人と、説教しているマキナの前に──シンディがお母さんのように止めに入った。


「ほらほら。こんなところで止まっちゃうと⋯⋯駄目じゃない」

「なぁ?やっぱりシンシアも俺が悪いと思うのか?」

「ん〜⋯⋯⋯⋯」


 シンディが対処に困ったように顔を引き攣らせて後ろへと顔を向ける。

 そしてマキナもその様子を見て前屈みでしゃがんでいる中、後ろへと顔を向けた。


マキナとシンディが同時にハモリながら最後の一人の名前を呼んだ。





















「ねぇ、どうすんの?創一」


黒いコートを羽織る創一が折り返してゆっくりコルトの前にやってくる。


「いいんじゃねぇの?ただこんなところで喧嘩したら、何処から撃たれるかも分からん。やりたきゃ少し場所を変えろ」


創一の一言で二人のやる気が何故か上がり、急いで目的地へと早歩きし始めた。

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