精鋭のみんなに向けてた最新話と作者が用意していくところ
ちょす氏
@+@〈≧[+→《ア》𓀸≠〉≠〉"】_《ース》:⊆※⊆・『『《ガルド》→◎└◎◎◎からのお便り
[≠[・±⊆_か?
ドクン──。
高級感?いや、真っ黒で縦に長い王族が座るような玉座。
真っ暗な空間から、圧倒的な威厳と無意識に近い威圧を感じる2つの瞳がこちらを刺すように観察している。
え𓀸−@〉※└◎≧〉だ。『《"・【《→か?
鼓動の打つ速度が徐々に⋯⋯本能的に感じてしまう格の違いが、脈打つ心臓の鼓動を早めているのだろう。
]】⊆[⊆のか?ホンとうに?+*'─≠_−の者よ
ドクンドクンドクンドクン──。
既に普通より早い鼓動。だが、意味のわからない羅列された謎の言語は⋯⋯「脳内で何を言っているんだ?」と無視するように考えることを放棄しているはず。
±・[−*』』≠だよ〈』@≧『※。⋯⋯𓀸]⊆"《もキコ:◎【+'ないのか?
は?何を言っているんだ?何が言いたい?
───見えてるだろう?地球の様々な場所から見ている者よ。汝らに言っているのだ。やっと言語が理解できるな?長い事時間が掛かった。
「は」──等と言い居るだろう?無理もない。汝らは二人
さて──。汝らは今、こんな疑問を持っているのではないか?
真っ暗な空間で此方を確実に見ている二つの瞳は⋯⋯笑っているようにも見えるし、威圧しているようにも見える不思議な眼。
態々何の用⋯⋯そんな事決まっておるではないか。我が特別に──隠しカメラで見ているコレについて見せてやろうとしているのだ。
天之御中主神が組んでいる足を解き、ゆっくり立ち上がる。立ち上がった直後、指をパチンと鳴らす。
ボウッと火が灯る音と共に──姿がようやく映る。黒曜石以上に真っ黒な長い髪。そして切れ長とそれにピッタリ合うクールさを感じさせる美しい双眸。完璧に整っている美しい顔は、ただの人間が浴びるにはかなり刺激が強すぎるだろう。
そして現代風にアレンジされている羽衣を身に纏い、双璧に灯っている真っ黒な黒炎は触れただけで総てを消滅させる程の威力を感じさせる荘厳なモノにすら感じてしまう。
「創一に教わった──此れが洒落てると云うものだろう?汝らよ」
⋯⋯⋯⋯。
「む?返事が無いようだが。仕方あるまいか。我と話すには⋯⋯創一レベルの親和力が無ければ話にならぬからな」
黒炎が灯る双璧。聖火のようにどこまでも奥へ続く果てしない道をこの神はゆっくりと、優雅に進む。
「さて──汝らよ──その目でとくと見よ」
天之御中主神が私達に向けて目で見ろと上空に浮かぶ映画館よりも何倍も広がっているスクリーンが突如として現れ、気付けば玉座が既に移動しており、そこに天之御中主神が神々しいオーラを出しながら座る。
「我も少しずつだが完璧に若人の言葉を覚え始めているぞ⋯⋯ほれ」
天之御中主神が手で亜空間から笛を一つ取る。妖艶なその唇で笛を咥えて軽く吹き掛けると──音響設備が一瞬で整う。
「
『≧_≧𓀸『]"〈≧』
『〉@〉±◎[』
スクリーンから言葉が聞こえるが、ノイズが掛かり全く聞こえない。すると何かに気付いた様子で瞳を閉じる天之御中主神。
「ん?聞こえぬか?言語が神語だからな」
『これより──────』
「そろそろ始まる。お前達若人らも我のいたずらの共有者と成れ」
⋯⋯怖くてそんなの──
「よい──我が責は保とう。ここまで来たら気付いているだろう?
「これより─────────」
威厳のある老人の声が宮殿の玉座の間で響く。
見た目は銀髪ロング。そしてかつ顎髭も銀である。
玉座に座るその老人が軽く片腕を上げる。
たったその挙動だけで体中から黄金のオーラが激しく溢れる。
「時が来た───」
『ふっ』
『⋯⋯⋯⋯』
『へっ!ようやくかよ!』
『⋯⋯⋯⋯』
老人を真ん中として、その左右には似たような立場の者であろう者達が列を成している。
全員が人間では無く──神であろう。
其々のオーラが溢れており、神人でも浴びれば即死するレベルの圧倒的な力。
ピッタリ6対6の左右に並んでおり、怒りの日とマッチするくらいの圧倒な絵である。
そして老人が双眸を黄金色に燦然と輝かせる。
「これより──
威厳を感じる声。声が響くと、老人上空から巨大な穴が空き、中から幾万という
「やっとだぜ!!」
そう神らしくない獣地味た荒々しい声を上げる聖戦を楽しみにしていたであろう男。
拳を固めた右手でパーにしている左手に拳をぶつけた。
その右手が打つかった衝撃は、台風が起こる程の威力である。そして男の足元にあるのは葡萄酒。その中から一本蓋を開けてゴクゴクと喉を鳴らしながら葡萄酒を一気に飲み干している。
「ぷはぁ〜!最高だぜっ!」
「ディオ?貴方ここが何処だかお分かりかしら?」
そうディオに問い掛けているのは美しいスカイグレーのロングヘアー、そして海を表す彩度の低い瞳──グラウコピスの瞳。
「分かってるさ!興奮せずには居られないだろ?アテナ」
「⋯⋯はぁ」
アテナが面倒くさそうに溜息で返事を返した。
「⋯⋯皆、エクソマキアの準備は整っているか?」
老人の問いに、並んでいる全員が無言で縦に頷いた。
「そうか──ならば──」
「父上」
「アポロ、どうした?」
彫りが深い顔だが男性としての外見は完璧。そして金髪と、それに合うパーマ掛かった髪型に整った肉体美。
「もう時期来られると思われます。しかし私には、あのような者を頼るなど──」
進言しているアポロンの言葉を片手で制止させる老人。
「お前の言い分も最もだろうアポロよ。しかし──」
宮殿の外から何者かがゆっくり向かってきている音が話している老人の耳にも入り、話している口を止める。
「父上?」
全員もコツコツと聞こえる音に扉の方へと目を向ける。
コツ⋯⋯⋯⋯コツ⋯⋯⋯⋯。
宮殿の長い廊下を一人の男がゆっくりと歩いていた。
「けっ!貴様如き
案内役であろう神兵の数人が男の両隣で堂々と悪口をこぼしている。だが男は初めから聞こえていないかのようにそのまま廊下を何食わぬ顔で歩いている。
一際目立つ黒い軍服の上に更に目立つ大きい白の軍服をマントのように⋯⋯袖を通すこと無く羽織っている。そしてコツコツ鳴らすブーツに腰まで伸びている白髪。神とこの男を並べたとして──劣ることなどあらず。
そして滲み出る威圧感と圧迫感。両隣にいる神兵ですら──愚痴をこぼすことはあっても⋯⋯目を合わせようとはしない。
この神兵達は分かっている。喧嘩を売ろうとしている相手が誰なのかを。
歩く度に軍服が少しだけ揺れる。腰まである髪も揺れる。
神兵達の中にも女はいる。その女達の両目は、格下と罵っている人間に対して顔を紅く染めている。その反応がこの男に対しての答えなのだろうとすぐに理解するにはそう時間がかかないだろう。
圧倒的な覇気と自信。それに加えて強い。それも──この上なく。
コツコツと音を鳴らし始めてから数分が経過した。宮殿にある大扉を神兵達が開けて男を中へ入れと手を伸ばす。
「卿ら──案内感謝する」
「ま、まぁまたね!!」
一瞬だけ神兵達を見て話し、目の前の迫力ある絵面の方へと一歩、また一歩踏み出していく。
「来たな────神門創一」
落ち着いた威厳のある声が創一に向けて発せられる。対して創一の返事。
「久しいな──ゼウスの爺さん」
お互い黄金色に双眸を煌煌と輝かせる。
黄金のオーラがゼウスと創一から大量に溢れ、二人のちょうど真ん中辺りで神力が衝突した。
『くっ⋯⋯!!』
『あの人間!!!』
ディオやアテナが衝撃波を耐えている中創一に向けて罵声を浴びせている。
『ゴォォォォォ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯』
嵐──そんな言葉ではとても言い表せない神力の衝突。
その衝突を下界で行えばどうなるか──並ぶ神々達も想像したくないほどに圧倒する二人の力。
『あの人間⋯⋯!!!』
ディオの顔つきが歪む。それそうだろう。たかが人間に自分が劣っていると理解しているからだ。
「ふん⋯⋯」
「ふっ⋯⋯」
ピタリと力の衝突が止まる。ゼウスと創一が鼻を鳴らし、軽く微笑みながら視線を一瞬そらしてからまた合わせる。
「久しぶりじゃのう──人間、神門創一よ」
「おんなじやり取りとは、遂に遅れが入ったか?卿も」
その場にいる全員が創一に対して完全な敵意を一斉に送る。だが全く効いていない顔つきでゼウスだけを見つめる創一。
「⋯⋯⋯⋯」
鼻息を漏らしながら、ゼウスが玉座の肘置きに片腕を立てながら創一を見下ろす。
「主は相変わらずじゃのう⋯⋯儂の両目を差し出した男よ」
ゼウスの言葉に鼻で笑ってその場でタバコに火をつける創一。
「どうだ?我ら宮殿内の中でもかなりのレベルにまで進化させた新茶じゃ」
神兵の中でも威圧感がある一人の男が創一の前にテーブルを置き、茶を並べる。
「ほう。神界では茶が流行っているのか?なら今度私の処からも一つ持ってこよう──戴く」
綺麗な所作で新茶を飲む。
飲み終わるとテーブルに置いた音が分からない位静かに置いている。
「それで?私が卿らに呼ばれた理由が分からないのだが──」
すると突然、スクリーンが創一の上に現れる。創一は黙ったままそのスクリーンに映っている片割れである自分が魔王相手に奮闘している所が流れていた。
「ほう?神座システムを使えているのか?流石主の片割れじゃ」
「ゼウスの爺さん⋯⋯まさか神々の中でこれを見てるのが趣味になっている者が多いとかではなかろうな?」
創一の問いに全員が「見ている」と表情で分かるくらい喜んでいる様子が目に入り、煙草の煙をゆっくりと吐く創一。
「主も大変じゃのう⋯⋯アルテミス嬢も困っておるのが良く分かる。お主に時間など与えてしまったら──すぐに強くなってしまうのじゃからな」
「止せ。大した事じゃないだろう」
「ふんっ⋯⋯恥づ奴じゃのう」
スクリーンの映像では詠唱を始めている場面に移行した。
『讃えよ──』
「ははは⋯⋯まさかいきなりアストラルを使うとは」
「確かコレは、エーテルを使った殲滅魔法だったはずですが⋯⋯何故片割れの器で使えないはずの技を使えているのでしょうか父上」
「そうじゃのう⋯⋯おそらくはそこのエンジニアが使えるように調整を加えたのだろう。流石──儂らを完全に潰した唯一の人間じゃのう」
創一を見ながら余裕を込めてそう口にするゼウス。
「⋯⋯卿ら」
「良いじゃろ?あの時──」
─────
────
──
「ふん⋯⋯貴様か?儂らに喧嘩を売る愚かな人の子は」
「⋯⋯⋯⋯」
──正に猛獣。
何を想い、神々に何を怒っているのかは全く見当もつかない。しかし目の前にいる白髪の男の両目と烈しい鼻息を見ればこの男がどれだけ怒り狂い、どれだけの覚悟を持ってこの場にいるのかが理解できるだろう。
満身創痍で佇む男の周りには⋯⋯数十?いや──数百の神兵の死体と臓物が飛散している。
神を目前に白髪の猛獣は、長い階段の上に立っている12人の神々を見上げている。
「何が気に入らぬ──人の子よ」
「俺は─────護る」
血よりも濃い⋯⋯ワインレッド何かとは比にもならない赤黒いその猛然たるオーラを纏う創一がたった一言だけ発した。
「護る⋯⋯人が人を?ならば地球で戦っている貴様の同種族の争いはなんじゃ?折角何度も機会を与えているというのにこの体たらくは」
「それもまた人間ということだろう」
「話にならんな──人類史が始まってまだそこまでじゃろう?にも関わらずこの様な愚図。確かに貴様はその人間の中から外れた特異点だということは認めよう」
ゼウスの視界に入る死体の中には本当に神と言われるレベルにまで進化している者も、実際に名のある神も居た。目の前の人間はそれを劇しい力で全て斬った。
ゼウスも認めなければならない──目の前にいるたった一人の人間が、真名と完全実体で立っている自分達の前でも平気で全身を逆立てて同時に相手しようとしている気運を感じているからだ。
「じゃが──この6666ある階段を登りきれたら良かろう」
ドンンンンッ!!!──。
重く押し付けられた爆音がどこまでも広がっていく。創一がその長い永久に届かないであろう階段を登り始める。
神々の予想とは裏腹に、もう残り10段まで創一が迫っていた。
「⋯⋯このような者が我が子孫に存在していたとは」
一段一段登る度に地獄のような痛みと身体が裂け、中にある臓物が悲鳴を上げる。創一は殺気を全開にするのをやめる事無く一歩ずつ上がっていく。
「お前ら
創一がそう言いながら、一歩。
『グチャッ!!!!』
ゼウス達神々の表情が険しい。
何故耐えられるのか分からないほど創一の身体からは血と砕けている体中の骨骨が露出しているにも関わらず、神門創一という男はそれでも歩みを止めずに何かボソボソと呟いている。
「種族の繁栄?」
ドンンンンッ!
一歩踏み出せば創一の腹わたが抉れ、左半身が神力によって吹き飛ぶ。
だが──この男が輝かせている赤い瞳は真っ直ぐ殺して、殺して、殺して、殺して、殺して殺してやるという双眸を神々に向け、一歩踏み出す度に神々の目つきが変わっていく。
「回収?」
ドンンンンッ!!!!
「新たに種を撒く?」
「良くここまで来たのう──人間よ」
「グルルルルルルルルル⋯⋯⋯⋯!!!!」
言葉で言い表せないほどの繽紛たる唸る咆哮。そして激しく大きく見開いた瞳が、座っているゼウスの上から見下ろしている。
「ふん⋯⋯面白いな人間よ」
────
───
─
「あれ程の逸材はもう二度と出てこなかったハズじゃ。結局儂が負けたがのう」
クスッと鼻を鳴らすゼウス。創一も昔を思い出したのか、少し口元を綻ばせている。
「それは良いとしてわざわざ来てやったが⋯⋯私を呼び付けたのは?」
「
「アウターゴッドだと?
深い吐煙と共に創一がそう言い放つ。
「そんな事は儂も分かりきっておる。何故我々が主の片割れを見ておると思うとる?」
ゼウスの言葉に創一が無言で煙草を吸いながらスクリーンを見つめる。
「恐らく──アルテミス嬢の近くにいる何者かその周囲にいる邪神辺りじゃな⋯⋯アウターゴッドを呼ぼうとレイアースで色々やっておるようじゃ。儂の尖兵を向かわせすぐにでも調査を行いたい所じゃが、彼処の管轄は13宇宙じゃ。手が出せぬ」
「だろうな──13,14は特にな」
「じゃから⋯⋯もうすぐ始まるエクソマキアの為に神座システムを与えたのじゃ」
「いや与えたのは私だがな」
クスッと鼻で笑いながらそう言うと「正確には──地球にいるハンター達にじゃがな」と意味深な返答が返ってきて、創一の顔つきが一気に変わる。
「⋯⋯ハンター?何の話だ?ハンターって狩猟者の事か?」
数秒の沈黙がこの場に流れる。他の神々も、神兵達ですらゼウスが口を開くまで誰も話そうとはしない。
「どういう事だ?」
「主は地球に関わらないという契約をアルテミス嬢と結んだのじゃったな」
「そうだ」
「今、その邪神とやらの襲撃が数年前に起こり始め、地球は元の平和な時代は疾うに過ぎ去っておるぞ?」
創一の両眉がピクリと小さく上がる。
「何?襲撃?」
「エクソマキアを始める理由は──地球にあと数年で訪れる聖戦の為じゃ。じゃから唐突とはいえ、即席で作ったシステムを作って人々の確率で覚醒者を作り、魔物へ対抗できる手段を作った。
じゃがそれでは間に合わない⋯⋯数年で強くするには──儂らのような神々から直接スキルや権能を弱体化させて使わせられるようにして現在は中々面白い展開じゃぞ〜?
主らの概念でいうゲームみたいなモノじゃな!中々に愉快じゃ⋯⋯スキルで一喜一憂する者が居れば、何の為に戦うのかを一々探して英雄を気取る青年。儂らからすれば主らが読む物語をこの
愉悦に浸るゼウスの蕩けた目を見た創一が軽く溜息をつく。
「つまり──地球も片割れと同じような状態⋯⋯ということだな?」
「⋯⋯あぁ、そういう事じゃな」
「これは⋯⋯なんというか、運命⋯⋯か」
「面白いのう──クロノスでもここまでは読めなかったじゃろうな。時間を操るなんて二つ名は終いじゃな」
二人はその場で軽く鼻で笑い、数秒が経つ。
「それで?情報を伝えたかったのか?」
「いや?選定じゃよ」
「選定⋯⋯?文字通り⋯⋯ということでいいのか?」
「視るといいぞ──」
創一の前には、正にゲームウインドウのような画面が表示されている。青く文字は筆記体のようなフォント、そして体力やら各種ステータスとスキル。レイアースで見たようなモノがズラリと並んでいる。
「⋯⋯爺さん、趣味悪いぞ」
そうこぼした創一に視えている者のステータス。
そこには〈芥生大貴〉,〈射手園光輝〉,〈永井姫乃〉,〈杉原愛梨〉,〈飯塚広憲〉,〈相原壬〉,〈三原順丞〉,〈松山恭弥〉〈風間修造〉⋯⋯まだまだ並んでいる様々なウインドウ。
そしてこの名前の数々──全て創一の関係者であった。
一周見た創一の目つきが懐疑的なモノへと変わる。
「こんな悪趣味な神だと知ったら信徒達が悲しむぞ爺さん」
「ハハハ⋯⋯こりゃお主の為じゃよ」
「私がか?」
理解が追いつかない創一の瞳。ゼウスはくしゃりと柔らかい笑顔を見せながら創一に人差し指を向けた。
「使徒じゃよ⋯⋯お主は我々──人間が神と呼ぶ創造主に勝利した唯一の人間じゃ。そしてアウターゴッドとも我々と共に戦こうた。お主は嫌悪するかも知れないが、既にお主の関係者は──我々としても死なせるのが惜しいのじゃよ。お主の関係者は──しっかりと生かしてやるのが負けた者として、そして神として義理とやらを通す為に」
「なるほど⋯⋯理解したよ。感謝する」
「止せ、当然の事じゃ。聖戦やその他の発展に大いに関わっておる主を下に見る者など居らぬ。昔じゃったら鼻で笑い、手を下されたであろうが、今は我々が喰われると理解しているからこそそこに立っている神々が答えじゃろう?」
睨んではいても攻撃を絶対にしようとはしない11人の神々。創一は確かにとゼウスへと視線を戻す。
「儂らからこの者等に加護を授ける。それが──神座システム初期型で共同制作した目的じゃから。まさか作ってたかだか1000年程で使用するとは思わんかったがのう」
しゃがれた声でガラガラ笑うゼウスと黙って見つめる創一。
「して、決めても構わぬぞ?」
「あぁ」
創一がそこからしばらく時間を掛けて選び終わり、ゼウスと共に新茶を飲みながら昔の聖戦について語り合っていた。
**
「懐かしいのう──あの時代、
「あぁ。聖遺物も足りていなかったし、なによりあの時はまだ経験値も足りていなかったからな」
黄金に輝く宮殿の天井に流れるオーケストラ。綺麗な天上の踊女。誰もが羨むであろう空間に数時間⋯⋯ゼウスと創一は熱い話を交わした。
「そろそろ行くよ、私もやる事があるからな」
「ほう?また面白い事でもやる気かのう?儂にも教えてくれぬか?」
「ふっ、まぁ⋯⋯」
宮殿の扉の前で立ち止まる創一。
「いつか話せる日が来るさ」
「そうか。楽しみにしておるぞ?」
「あぁ」
「創一──」
「なんだ?」
「主は分かっているだろうが、本来──
そう発せられた先にいる背中を向けている創一の姿は、どことなく儚く消えて行く泡のように見える程小さい背中に見えた。
「主も理解しているだろう?片割れはいつかお主の魂に
「⋯⋯それはまだ決めていない。目的を達成するまでは回収の予定は無い」
「主が片割れに与えたシステム⋯⋯アレは大義として邪神を潰すという目的があると同時に──仲間を守る為に特異点となる覚悟で入れたのじゃな?」
真剣なゼウスの眼差しに軽く1回頷いてから創一は大扉を開けて暗闇の中へ消えて行った。
「奴は仲間想いじゃのう⋯⋯まさか家族を守る為にあのような手段を取るとは」
始めてレイアースに介入した時も、大幅に弱体化を覚悟で現れた時は儂じゃって驚きでいっぱいじゃった。
ゼウスの双眸は綺麗な天井へと向く。
「主に⋯⋯良い運命を」
切実そうに願うゼウスの言葉に、黄金が反応するようにオーラが花びらのように舞い、祝福の舞を行った。
「ふむ⋯⋯」
中々面白いモノだったな。
それでは地球人達よ──いつかまた逢えるだろう。永劫に。我が縁と為せるのだから⋯⋯幸運だろう。
また指をパチンと鳴らすと、今度は黒炎とスクリーンが綺麗に消えて行く。辺りはまた真っ暗な空間へと戻り、静かに玉座に座る天之御中主神だった。
そして私達全ての者との接続がそこで途絶えた。
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