第18話「守られた海運の中継地」
バレットとピストレットは民間人達を解放し、西のアジトからとっくに離れた場所にいた。
「バレット、ここで使うわっ!」
「ピストレット、頼んだ!」
ピストレット達が仕掛けた爆薬の爆弾を爆破させようとピストレットがショルダーバックの起動装置を手に取る。
「これで……!?」
「どうした?」
「やられたわ……」
ピストレットが手にもっていた起動装置はゆきが撃った弾丸で撃ち抜かれ、破壊されていた。
「あの娘、今度あったら覚悟してなさい!!私のデザートイーグルで撃ち抜く!!」
★★★★★★
「バレル君何してるの?」
バレルは机の上に鞄と荷物を並べて鞄の中に荷物を入れ、荷造りをしていた。
「帰るんだよ。本部に。」
「え?でもここはどうするの?」
「フィボナスが死んだからな、ここは副支部長が引き継ぐ。俺達は明日、船に乗って本部まで戻る予定だ。」
バレルは荷造りをしながら淡々と話していた。
「なるほど。」
本来のストーリーではフィボナスがバレットに敗れ、西のアジトは爆破されて機能する事ができなくなる。そしてバレットは更に他の支部を攻めて行くのだが、ゆきのファインプレーで西のアジトは無事であり、海運の中継地点は守られてしまった。
★★★★★★
とある町の宿屋にて、ピストレットは項垂れていた。
「バレット、これからどうするの?西のアジトを落とす計画が失敗した今、他のアジトの警備も厳しくなる。それでも……」
「確かに西のアジトを壊滅させる事は失敗したけど、囚われてた民間人達を救出できた。これだけでも意味があったんじゃないか?」
「じゃあ、…」
「ああ、俺は続けるよ。デリンジャーの悪事を止める!」
「……わかったわ。」
ピストレットは苦い顔をした。これ以上バレットが危ない目に会う事は避けたい。一緒に故郷でゆっくり暮らしたい、だがピストレットの思いはバレットには届かないようだった。ピストレットはバレットが危ない目に会う事を心配していた。理想と現実の狭間で揺れ動く。夜の帳に想いは塗り潰されていく。
★★★★★★
翌朝、西のアジトを旅立ち、船に乗ったバレルとゆきは甲板に出て風を感じていた。
「なあ、西のアジトへの行きの船で言おうとした事ってなんだったんだ?」
ふいにバレルがそうゆきに聞いた。
「……バレル君はデリンジャー様が好き?」
「また、その質問か……俺は…」
「デリンジャー様を…ーーー」
「……お前、なんで?」
「…知ってるよ。でも、それでもデリンジャー様の側にいてほしいの。デリンジャー様を…」
「……お前には関係ない。」
バレルはバツが悪そうに顔を背けるとそそくさと部屋へと帰っていった。甲板に残されたゆきはただぼんやりと風景を見ていた。
★★★★★★
バタバタと急ぎ足で走る部下が会議室のドアを勢い良く開けた。
「デリンジャー様!大変です!!」
「どうした?会議中だぞ。」
「それが…」
「何だ?」
「西のアジトにバレットが現れました!」
「ほう、あの小娘の言う通りか…」
「しかし、バレルさんと付き添いの女が撃退したそうです!!バレルさんが狙撃手に狙われているところを付き添いの女が応戦し、敵を撃退したそうです。」
それを聞いたデリンジャーの動きが止まった。
「くくくくっ。なるほど、面白い。」
「フィボナス氏はバレットにやられたので、西のアジトの管理は副支部長に任せるそうです。」
「ああ、それでいい。」
デリンジャーは予想外の事に喜びを感じていた。ただの小娘かと思われたゆきがバレルを助ける役目をおうとは思わなかったのだ。
「さて、これからもっと面白くなりそうだ。くくくくっ……」
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