第10話「西のアジト」


西のアジトへと入って行く。


「バレルさんよくいらっしゃいました!!」


「支部長が上でお待ちです。」


「ああ。」


「あの、そちらの女性は?」


「俺の連れだ。気にするな。」


「はい、わかりました。各所に伝えておきます。」


「ああ、助かる。」


西のアジトは海運の拠点だけあって船からのコンテナがひっきりなしにアジト内へと運ばれていた。アジトの最上階へと西のアジトの部下達に案内される。


「こちらで支部長がお待ちです。」


部下がノックし、中からの返事と共にドアを開ける。


「バレル、よく来たな。ふんっ。」


中にいたのは、椅子にふんぞりかえって座っているこの支部のボス、フィボナスである。


「フィボナス、町の住人達をデリンジャーさんに許可なく使役してるらしいな!」


「なんだ、若僧が。ここは私の支部、私の好きにして何が悪い!」


「この事はデリンジャーさんに報告しておくからな。」


「ふんっ!好きにしろ!」


「あ、あのぉ~、それよりバレットが……」


「なんだ?この小娘は?」


「デリンジャーさんから預かってる俺の連れだ。気にするな。」


「はい!バレル君の連れです!さっそくですけど、ここバレットに狙われてます!」


「何を訳のわからん事を…」


「おい、黙っておけ。」


「だって、バレットがもうすぐ来るんだよ!それまでに作戦とか決めておかないと…」


「もういい早くその小娘をつまみ出せ。」


「待て、フィボナスだからデリンジャーさんから預かってるって言っただろう?」


「……あの方の考える事はわからん…はぁ。」


「とにかく!バレットが来るので主に東口の警備を厳重に…」


「うるさい!小娘!」


「あと、デリンジャーさんから伝言「その娘の言う事は役に立つので協力する事…」だそうだ。」


「頭が痛くなってきたわ…」


「ふんっ!」


ゆきはどや顔で腕を組んだ。


「いや、誉めてないぞ!」


「そんな小娘の言うことなんて聞いてられん、」


「フィボナス、地下つかっていいか?後武器庫からいくつかもらいたい。」


「好きにしろ。」


「ありがとう、おい、行くぞ。」


「あぁ~作戦会議ぃがぁああっ!?」


★★★★★★


バレルに引きずられながらアジトの中を歩き回り、大量の銃が保管されている武器庫へとたどり着いた。


「わぁ、凄い数だねぇ。」


「あまりうろつくなよ。」


「わかってるよ!それよりバレット来るのに大丈夫?」


「だから今からブツを調達するんだろ。」


「あ~!なるほど!だから武器庫に!」


「アホか。」


ぐさぁ、とゆきの心に刺さった。


「うーん、」


「数はあるが…なかなかいいものはないな…。」


ズラリと並ぶ銃を手に取りながらバレルは銃を選んでいる。ゆきも何かを探していた。


「これ……」


「こっちのは…」


「バレル君!バレル君!」


「なんだ、うるさいぞ。」


「これ!これ使ってみて!」


ゆきが差し出して来たのはバレットM82だった。


「バレットM82?使えないわけではないが…」


「じゃ、使ってみて!」


眼を輝かせながらそう言うとゆきの勢いに押されてバレルは渋々使ってみる事にした。狙撃場にて、撃ってみる。ダンッ。


「っ!」


「どうどうどう?!」


「うるさい。」


ドカッ。


「あてっ。」


右フックが入った。痛い。


「なんでこの銃を?」


「それは……」


アニメで見たとは言えないなぁ。先に持ってたドラグノフ狙撃銃よりバレットM82を持った方がバレルは強くなった。それをアニメで見たからとは言えない。


「まあ、なんとなくだよ!」


「……。」


「とにかく!バレル君!頑張ってね!」


「お前も撃つ練習頑張ってくれよ?」


「あい……」


ゆきはなかなか上達しない。的に当てる事すらできていないのだ。


私には難しいかも……。


★★★★★★★★


「バレット!行くわよ!」


「ピストレット、本当について来るつもりか?」


「ええ、一緒にいくわ!」


「わかった!」


バレット達は西のアジトへと潜入しようとしていた。これから先に勝つのはバレルとゆきか、それともバレットとピストレットか?答えを知るものはいない。

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