一つだけの空白席

みるもるの家

第1話 友達

この学校は呪われている。

だけど、誰もそのことを調べることはしなかった。

もし調べると、災いが降り掛かってくると言われているから。この時はまだ最悪なことになるとは思っていなかった――


「私も高校生かぁー」

「高校ってどんなところなんだろ?」

「でも、エリート校って書いてあったから心配。」

一体どんな所なんだろうと考えながら学校へ歩を進める。

「そう言えば、学校説明が普通はあるはずなんだけど……無かったよね。まぁ、大丈夫でしょ!」

と、ポジティブに考えることにした。

「えっと、ここら辺なんだけど……」

「えっ、高校ってこんなに大きかったっけ?」

そこには、そこら辺の高校より大きい建物があった。あまりにも大きいため、再度地図を確認した。

「うん、ここで合ってる。」

私は、ビックリしつつも、楽しみの方が強くなったので足早に学校の中に入るのだった。


「な、何だこれ?」

入口から中に入ると、大きいゲートみたいな物がある。

すると、近くにあったモニターに案内が表示された。

「えっと、荷物はレーンに置く……持ち物検査的なやつか。」

「そして、このゲートを通ればいいんだね。」

と、そのゲートを通った瞬間、頭が一瞬ふわっとした。

「おっとと、びっくりした。一体今のはなんだったのだろ?」

「うーん、考えても仕方ないか……」

「先ずは教室に行かないと。」

そして私は教室に向かう。

「あれ?どうして私は教室が分かったんだろ?」

不思議なことが起こりすぎて頭が混乱してきた。

「はぁ、取り敢えず教室に行こう……」

そして私は、頭を押さえながら教室に行くのだった。


教室に入ると、さっきと同じ頭が白くなる感覚がした。

こうも連発に来ると、イライラしまうが、今回はそんなに長くなかった。

「あれ?どうして自分の席が……」

またしても知らない自分の席が分かる。

「(一体どうしちゃったのだろ……)」

「大丈夫?気持ち悪くない?」

と、話しかけてきた。

教室に人がいたことに気づいていなかった。

見渡すと、教室には彼女1人だけだった。

「う、うん。大丈夫……多分。」

「そう、なら良かった。多分は不安だけど……」

「そんなあなたに朗報よ。なんと!隣りの席は私です!」

「ふふ、良かったね~!」

「う、うん……良かったね?」

「(この子……テンション高いな)」

「お隣記念ということで、自己紹介しよ~」

「そ、そうだね。」

「じゃあ私から……私は風香かおりっていうよ

。」

「かおりでいいよ。」

「かおりちゃん!とっても素敵な名前だね!」

「容姿もいいし、なんでこんなに可愛いんだろ?」

「おっとと、あと少しで自己紹介を忘れるところだった……」

「私は、早桜そうざくら、さくらでいいよ。」

「あっ、そういえばスマホ見た?」

「いや、見てないけど?」

「ふふ、見てみたら?面白いことになっていると思うから。」

そういわれて、私はポケットに入れていたスマホを取り、ロックを解除した。

「ん?な、なんだこれ?」

「いつの間にアプリが……」

「あったでしょ。私もびっくりしたんだよね。」

「生徒手帳は分かるけど、生徒記録ってなに?」

「さぁ、私も良く分からない。気になるなら開いて見たら?」

そして私は、そのアプリを起動した。

……すると

「な、なんだこれ。」

「おお、これは……みんなの名簿かな?」

「ここに私の名前がある。」

「本当だ。あ、私の名前もある。」

「ん?この関係ってなんだろ?」

「さぁ、私には分からないな。」

と、さくらちゃんと話していると……

「おろ?もう来てるじゃん。」

「あ、本当だ。」

という声が聞こえた。

「《おはようございます》」

まさかさくらちゃんと被ってしまった。

「お、すごい。」

「こ、これはッ……何かを感じるッ!」

「まるで、私と楓花ふうかみた……」

「ペシ……」

その子は、相手の頭に優しい手刀をした。

「それ以上言うと干物にする。」

「《まさか自分で擬音を言うとは……》」

「まぁ、それは置いといて、取り敢えず自己紹介をしないとな。」

「私は咲木(さきぎ)だ。んでこいつは」

「んー!こいつ呼ばわりするな。」

「私は楓花ふうか……よろしくです。」

「私は、私は風香かおりっていいます。」

「私は~早桜そうざくらだよ!さくらいいよ~」

「《よろしくね~》」

「えっ……」

またしても同時だったので、とっさに顔を見合わせるのだった。

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