本屋さん大好き僕、今日もパケ買いしてはずれを引く

丸焦ししゃも

今日もパケ買いをする僕

 今日も学校の帰りに、大型スーパーマーケットの書店コーナーに立ち寄る。


 棚のエンドと呼ばれる平台には色とりどりの書籍が並んでいる。


 僕の目的は大体が小説の単行本コーナーだ!

 その中から可愛い女の子が書かれているパッケージを手に取る。


 パケ買いという言葉をご存知だろうか。

 商品のパッケージだけで判断して商品購入することである。


 身近なところだとコンビニの新商品!

 あれは本当にズルい! 目につくパッケージに美味しそうな商品名!

 あんなの買ってしまうに決まっている!


 音楽CDなんかはジャケ買いとも呼ばれるし、その行為は既に文化として認知されているのだ。


 僕は本屋さんでパッケージとタイトルを見て、書籍を買ってしまうのがある意味になってしまっている。


 文庫本なんかは最近可愛いイラストに彩られているものが特に多い。

 もちろんそういう本にも心は惹かれる!


 しかし! 真のパケ買いつうは文庫本は狙わないのである。


 狙うは単行本のほうだ!


 何故かって?


 文庫本は単行本が人気になってから発行されるものが多いからだ。

 つまり鮮度が落ちるのである!


 単行本のほうが値段は張ってしまうがそれは仕方がない。


「よし! 今日はこの本にしよう!」


 僕が手に取った単行本は、可愛い女の子のイラストがひと際大きく描いてあった。淡いタッチの絵柄が本当に素晴らしい。


 小説を読むのにパケ買いするなんて不思議に思う人がいるかもしれない。だがそれがまた一興なのだ。


 出されたばかりの小説を探して、まだ世に出ていないヒロインを僕が見つけ出す!


 そう! 単行本のパケ買いは自分だけのヒロインを探し出すことでもあるのだ!!




※※※




「ふぅ……」


 家に帰り、一心不乱にその単行本を読んだ。

 まるで生き別れの恋人を探すかのようにその本に没頭した。


 ――しかし。


「騙された……。このパッケージの子、男の子だったわ……」


 これからも僕のパケ買いライフは続くのであった。

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