そして

 結果から言えば廃部である。部活勧誘は大盛況だったが、その後誰一人として門を叩く者は居なかった。

「ダメでしたね」と部結成の日――廃部の日に最後になる部活を行う。楓は少し寂しそうな表情をしていたし、奏汰ももう集まれないのかと考えると悲しく思う。彼女との接点が無くなるからだ。そう思っていると楓は奏汰の肩を叩く。「顧問こもんの先生がたまになら調理室を借りて良いって言ってたから。また、やりましょう?」と言いながら連絡先を交換しようと準備する。あぁ、まだまだチャンスはあるなと必死にニヤつきそうな表情を隠す。

 こうして、歪な形ではあるものの、奏汰は楓の連絡先を入手することが出来たし、結果として定期的に連絡を取ることに成功した。楓から送られてくる殆どの連絡は新しいコーヒーの情報からスタートするのだが。


 おしまい。

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