つぶれそうな本屋を救ったのは一日店長のアイドルだった
華川とうふ
アイドル、1日、本屋店長はじめます☆
「準備はいい?」
そう聞く
子供の頃から本が好きだった。
実家が本屋だったおかげで、俺にとって本屋は遊び場であると同時にかけがえのない場所だった。
本には色んなことを教わった。
本を読むだけじゃなくて、もっと現実に目を向けるようにと大人たちは言うけれど、本の世界の中で俺は色んな人間の人生や考え方を学んだ。
だから、将来は自分も本屋になって多くの人と本の出会いを助けたいと思っていた。
本屋を営みながら、家族をもつ。
贅沢はできないけれど、幸せな人生になると思っていた。
しかし、俺のささやかな将来の夢は駅前の再開発によってもろくも崩れた。
そう、駅の再開発に伴って、実家の本屋をたたむと親父がいいだしたのだ。
本が売れないと言われている中で、駅前の再開発のおかげで今、この本屋をたためば親父の残りの人生で本屋を続けるよりも大きな金額が入ってくるから当然といえば当然だ。
だが、俺はどうしても店を畳むことに「うん」と言えなかった。
本屋は遊び場であり、かけがえのない場所だから。
そんな俺に親父は条件を出した。
三か月間でこの本屋を昔のように活気のある場所すること。
できなければ、この本屋をあきらめる。
無理なようだけれど、俺はその条件を飲むしかなかった。
俺は今まで読んだ本の知識を動員して色んな試みをした。
もちろん、予算がないなかでできることは限られていたけれど。
街の人の声も取り入れた。
休憩スペースや実際のお客様の本気のおすすめの本。
オタクグッズも充実させた。
どれもそれなりに人の話題を呼んだが、まだ親父の出した条件を満たさなかった。
この場所を失ってしまう……。
そう意気消沈していたときに、奇跡が起こった。
幼馴染のあの子がアイドルになってこの街にもどってきた。
これはスキャンダルを起こしたアイドルと田舎町の本屋の再生の物語。
つぶれそうな本屋を救ったのは一日店長のアイドルだった 華川とうふ @hayakawa5
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