第20話 報復
(1)
「いやあ、参ったぜ」
運動会の翌日。振り替え休日だった。
私と水奈と祈と大地それに学は病院にお見舞いに行った。
包帯だらけの遊と粋に面会した。
朝からなずなと花は来ていたようだ。
「すまない、ここまでやるとは思わなかった」
私の判断不足だ。
「天音達も気をつけろよ。あいつらマジでヤバい」
粋が言う。
「俺達の事はいいから花となずなを守ってやってくれ」
「余計な心配しなくていいから今は休んでろ」
「そうだぜ、羨ましいくらいだ正当に学校サボれるんだし」
水奈が笑って言う。
こいつらの前で感情を曝け出すわけにはいかない。
「なずなと花の心配はしなくていい。母さんに私がお願いした」
祈が二人にボディガードをつけるという。
登下校を狙われたら太刀打ちできない。
学校にいる間はなるべく固まって行動するようにした。
1年生や2年生の事も考えてやらないといけない。
今回の事件を解決する方法。
私と水奈は一つの結論に達した。
二度と手出しできないように徹底的に痛めつけてやる。
大地と祈は何かに気付いたようだ。
「そろそろ行こうか?長居しても他の患者に迷惑だろうし」
「そうですね」
祈と大地が言う。
「じゃあ私達も」となずな達が言うと「2人はこの馬鹿2人の監視を頼む。病院で何しでかすか分からない」と祈が言う。
「わかった……」
花が言う。
私達も気づいた。
「じゃあな、学校で待ってる。それまでには片づけておくから」
水奈が言う。
「……無茶するなよ」
粋が言う。
「お前らは何も心配するな」
私がそう言って笑うと。部屋を出た。
「……当然このまま放っておくわけないよな?」
祈が言う。
「当たり前だろ。100倍にして仕返ししてやらないと気が済まない」
水奈が言う。
「二度と馬鹿な真似ができないように痛めつけてやれと母さんに言われました。多少の不祥事は母さんがもみ消すとも」
大地が言う。
「祈こそいいのか、お前まで巻き込んじまうぞ?」
「気にするな、親にも言われた。やられたら徹底的に仕返ししてやりなさい。酒井家に逆らうとどうなるか思い知らせてやれ。ってな」
私が言うと祈は答えた。
「いつやるんだ?」
「明日。朝から忙しくなるぞ」
なんせ相手はSHを除くほぼ全員なんだから。
祈の送迎車に乗り込む。
「具体的な策はあるのか?」
車の中で祈が聞く。
「策なんかねーよ。全面戦争だ」
私が答えた。
「そうこねーとな、こっちは二人も病院送りにされたんだ。喜一ひとりくらい棺桶に放り込んでも問題ないだろ」
水奈が言う。
「わかった。任せとけ、後始末は母さんがやってくれるらしい」
祈が言う。
私は家の前で車を降りると家に帰った。
「天音、ちょっとこっちに来なさい」
愛莉に呼ばれた。
「粋と遊はどうだった?」
「元気そうだった」
「そう……冬夜さんは好きにさせてやれと言うけど母さんは……」
私は女子、顔やお腹に何かがあってからでは遅いと愛莉は心配している。
だけど黙っていてもやられるだけ。
ならばこっちから仕掛ける。
しかし愛莉には黙っていた。
余計な心配はかけたくない。
愛莉一人の体じゃないんだ。
「分かってるって、心配するな!」
私はそう言って部屋に戻る
部屋に戻ると空とゲームをして時間を潰す。
翼は黙ってそれを見てる。
そうやって私は休日を過ごした。
夜になるとSHのグループメッセは明日の相談で一杯だった。
3年生だけの問題だけじゃない。喧嘩を売られたのはSHだ。
光太が言う。
「天音達だけで解決しようなんて思うな。俺達も加勢する」
「的は絞れてるんだ。さっさとケリつける」
私はそう返した。
私はムカついていた。
そして私を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる。
相手が何人いようと知った事か!
明日寝不足で力が出せないなんてことのないように早めに寝た。
しかし、あれだけ怒りを露わにしていた空が不気味なほど静かだった。
(2)
「粋、私達ちょっと散歩しない。一回屋上とか見てみたかったんだよね」
花が言う。
「わかった。じゃあ遊、ちょっと行ってくる」
そう言って粋と花が屋上に向かった。
「2人とも仲が良くなったみたいだね」
なずなが言う。
ああ、そういう事か。羨ましいな。
「どのくらい入院してるの?」
なずなが聞いてくる。
「一週間くらいって言ってた」
「その間見舞いに来てもいいかな?」
「なずなも狙われてるんだぞ。まっすぐ家に帰った方がいい」
「だって心配だから」
「え?」
「入院中だからって遊が狙われないとは限らないでしょ?」
まあ、そうだけど。
さすがに病院内で暴れたら、ただじゃすまないだろ?
「心配しないでも病院の中で喧嘩はないよ」
「それでも心配なの!」
なずながいつになく真剣だ。
どうしたんだ?
目に涙を浮かべてる。
「私がいたらかえって足手まといかもしれないけど……」
「けど?」
「好きな人の心配したら駄目?」
揶揄ってるとか冗談だとかそんな表情じゃなかった。
突然の告白に戸惑っていた。
「急にどうしたんだよ?」
「私達のせいでこんな目に合わせてしまったからとかそんなんじゃない。天音や水奈と一緒に楽しそうに遊んでる遊に見とれてた」
そして恋に落ちた。となずなは言う。
「私は天音や水奈と違って強くない。遊には物足りないかもしれないけど……」
「俺さ、水奈が好きだったんだ」
「……見てたら分かるよ」
「今でも兄貴が羨ましいと思ってる。まだ引きずってるんだ」
「うん」
「忘れさせてくれる?」
「忘れさせてあげたい」
「じゃ、お願いしようかな」
俺は精一杯笑顔を作った。
「分かった。でも今回みたいな無茶は控えてね」
「分かった」
でも気になることが一つある。
「花もこの事知ってるの?」
「多分ね。直接は言ってないけど」
「じゃあ、花が粋をよびだしたのは……」
「多分そういう事なんじゃない?」
なずなはそう言って笑った。
「私より花の方がいいなんて言わないでしょうね?」
「い、言わないよ」
「なら良かった」
今頃あっちも愛の告白か。
けがの功名ってやつだろうか?
名誉の負傷ってやつだろうか?
人生悪い事ばかりじゃないらしい。
「ただいま」
花が戻ってきた。
表情は明るい。
粋の表情を見る。
少し照れていた。
言われたんだな。
なずな達が帰った後粋と話をしていた。
やっぱり花に告られたらしい。
「無茶は止めてくれって言われたよ」
粋は言う。
同じような事をなずなに言われたと言う。
スマホを見る。
明日は大変な一日になりそうだ。
そんな事より、俺と粋はお互いのパートナーにメッセージを送って夜を過ごしていた。
(3)
俺は屋上に呼び出されていた。
こういう時に屋上に呼び出されるという意味。
そんなことくらいテレビで知ってる。
「いい天気だね」
花はそう言った。
「そうだな」
「怪我……痛む?」
「大丈夫、すぐ退院できるって言ってたし」
「よかった」
花は空を見ていた。
「粋はいつも自由だね。この青空のように粋を縛るものはない」
「それは気のせいだよ」
「え?」
「本当に自由なのは天音だよ。天音は自分の生きたいように生きてる」
そんな天音に惚れていた。
「粋が天音に惚れてたのは知ってる。気づいたと言った方がいいのかな」
「そっか……」
周りから見ていたらバレバレの行動だったか。
ちょっと恥ずかしいな。
「ダサいな俺。気取られていた上に大地にとられちゃってさ」
「天音だって女子だもん。守ってくれる男子に一目ぼれくらいしちゃうよ」
「そうか……」
あの時俺がいけばよかったのか。
「それは粋もそうだよ」
「え?」
「私のせいで粋を怪我させちゃった」
「これは違うよ、男として当然の事をしたまでだよ」
「その当然の行動をとれる人はそんなにいない……だから私も女子として当然の反応をする事にした」
「花?」
花の顔を見る。
花の表情は何か決意をしているようだった。
「私が粋が天音を好きだと感じたのは私が粋をずっと見てきたから。何時だって自由な粋に憧れてた」
鼓動が早くなる。花が何を言おうとしているのか分かってしまったから。
「これからいう事はそんな粋の自由を奪うことになるかもしれない……それでもいいのなら……私と付き合ってください」
やっぱりそうきたか。
参ったな。そんな結果を求めてとった行動じゃない。
花は答えを待っていた。
慎重に考えて答えを選んだつもりだった。
「俺は、確かに自由に生きてきた。けどそれも少し疲れた。自由人だからまたいつどこへ流れるか分からないけどそれでよければ……」
「その心配はしてない」
花は僕を抱きしめる。
「私がしっかり捕まえてるから」
負けないように、枯れないように笑って咲く花になる。
俺が自分に迷ってる時は風を集めて空に放つから。
俺の心の中に永遠なる花を咲かせて見せる。咲かせるから。
でもいつかは花びらのように散ってゆくかもしれない。
だからこの世界で起こることは全て受け入れてゆこう。
俺が花に残せるもの。
今という現実の宝物。
だから僕は精一杯生きて花になろう。
「これからよろしくね」
花はそう言って握手を求める。
俺はそれに応じる。
「そろそろ戻ろうか?用も済んだし」
「うん」
病室に戻るとなずなと遊の雰囲気も変わっていた。
2人が帰ると遊と話をしていた。
今日が終るその前に。
その頬照らされた、月明かりを心に添えて。
この先の俺達の為に。
スマホを見るとSHのチャットは荒れていた。
俺達に手を出したらただじゃ済まない。
そう思い知らせる算段を練っているようだった。
そんな生易しいもんじゃない。
天音を怒らせたらただじゃ済まない。
そう物語っていた。
(4)
朝起きると、着替えて準備してダイニングに行く。
どんなにイラついていても飯だけは食う。
ましてや今日はこれから大暴れするんだから。
準備を済ませて水奈が来ると私達は玄関に向かう。
「水奈、待ちなさい」
パパに呼び止められた。
「何?」
「……やりすぎるなよ」
やるなと言わないのがパパだ。
「分かってる」
そう言うと私は家を出た。
「行ってきまーす」と元気に声を出す。
今日は水奈も口数が少なかった。
翼も空もいつも通り何も言わない。
学校に着くと大地と祈が待っていた。
私たちはお互いの顔を見て頷くと教室の前に立った。
大地の顔を見る。
「大丈夫」
特にトラップは仕掛けられてないらしい。
大地はそういうのを見抜く訓練を受けている。
「行くよ?」
私が声をかけると3人は頷く。
宣戦布告だ。
戸を思い切り蹴飛ばす。
戸が外れて思いっきり吹き飛ぶ。
何事かと皆の注目を集める。
席に座ってこっちを見てにやりと笑う喜一。
「雑魚は私達にまかせろ!」
祈の言葉が戦闘開始の合図。
私は喜一の席に向かう。
途中取り巻きが行く手を阻むが全て大地が始末してくれた。
慌てる喜一。
そんな喜一を思いっきり殴り飛ばす。
派手に吹き飛ぶ喜一に追撃をかける。
祈はなずなと花を守ってる。
取り巻きの掃除は水奈と大地に任せた。
2人とも派手に暴れる。
教室の中は乱戦状態。
「さっきのは遊の分!そしてこれが粋の分だ!」
喜一の胸ぐらをつかみ二発目を食らわせる。
喜一の顔から笑みは消えていた。
「立てこら!まだ終わってねーぞ!」
その後もなずなの分、花の分、大地の分、水奈の分、祈の分と殴り飛ばす。
まだ終わってない。
「てめーのせいで!放課後に掃除させられた無駄な時間の分!」
男だから遠慮はいらない。
腹に目掛けて蹴りつける。
「最後に私の分だ!!」
ベランダの戸に目掛けて思いっきり投げつける。
戸が外れ、ガラスが割れ喜一はベランダの手すりに打ちつけられる。
喜一はみっともなく私に謝っていた。
「謝って済むなら警察はいらねーんだよ!まだこんなもんじゃねーぞ!イライラして無駄になった楽しい休日を返せ!」
桜子が入ってきて、私を取り押さえる頃には喜一は気絶していた。
しかしまだ怒りは収まらない。
「気絶してりゃ許してくれると思ったら大間違いだぞ!こっちは殺す気で来たんだ!人の話聞いてんのかこら!」
「もういいでしょ天音!これ以上やったら本当に死ぬわよ!」
「離せ!こいつは本気で私を怒らせた!私を怒らせたらどうなるか!死ぬまで思い知らせてやる!」
桜子一人に取り抑えられたところで私の怒りは止まらない。
「フォーリンググレイスだかボーリンググレープだか知らないがふざけた真似しやがって!」
桜子を振り切り喜一を痛めつける。
応援が3人着いたあたりでようやく私の暴走は止った。
喜一はすぐに病院に搬送された。
私達は生活指導室に呼び出しを受けた。
しかし私達SHの戦いはまだ始まったばかりだった。
(5)
SH対FGの局地戦は学校全体で行われていた。
授業中だろうが昼休み時間だろうが関係ない。
1年から6年まで広範囲に広がっていた。
俺は6年生の教室の前に腕を組んで立ち塞がっていた。
「どこに行くんだ?」
「なんだお前?」
「そんなことは関係ない。この先は通行止めだ。他を当たれ」
そう言うと6年生が笑っている。
「かっこつけてるとお前もあのガキみたいにする……」
最後までしゃべらせるつもりはなく、思いっきり殴り飛ばした。
「俺達とやろうってのか!?」
激昂する6年達。
「そのつもりはない。ただお前たちの行先はこの先じゃない」
そう言って6年達を一睨みする。
次の瞬間教室を出ていた6年の馬鹿達は異変に気付いたはず。
全員腰を抜かしていた。
本気で睨みつけたら呼吸を止めることくらい容易い。
ただこの馬鹿達に伝えておくことがあるから生かしておいた。
「SHに逆らったらどうなるか教育しておけとリーダーから言われてるんだ」
そう言って身動きの取れない間抜けを蹴り飛ばしていく。
SHのメンバーは1年から5年生まで。
下級生が気になると学や翼が向かってる。
廊下にいる雑魚を全員蹴散らすと次は教室に残っていた者達。
「た、助けて……私達女子だよ?」
その一言が勘に触った。
「その助けを求めた女子にお前らは何をした!?」
俺は問答無用で殴り飛ばした。
そのうち教師たちが駆けつけて俺を羽交い絞めにするけど関係ない。
威圧して動けなくして殴り飛ばす。
俺は最後の1人まで残さず殴り飛ばしていった。
そして最後の一人の女子を見下ろす。
完全に怯えている女子に一言告げた。
「お前らの行先は4年生の教室じゃない……地獄だ。……死ね」
ぽかっ
「もうみんな終わったよ」
美希が僕の頭を小突いた。
僕は我に返る。
血を流し泣き叫ぶ6年生。
「このくらいで泣くんなら端から調子こいて絡んでくるな!」
そう言って机を蹴飛ばす。
「もういいでしょ。懲りたはずだよ」
美希がそう言うと僕達は生徒指導室に連行される。
当然僕達も生活指導室に呼び出される。
その日は大荒れの一日だった。
当然親が呼び出される。
最初に叫んだのは、山本君のお母さんだった。
「うちの息子にあんな真似をしたのは誰!?」
「は~い、私で~す」
悪びれもなく天音が手をあげる。
ちなみに天音の攻撃は容赦を知らず頭を縫う、両手両足骨折。鼻骨と顎と鎖骨を折られて全身打撲。顔は晴れ上がり歯も何本か欠けたらしい。
母さんが謝る。
「やり過ぎないように注意はしたんですけど」
「やり過ぎないようにってあなたどうかしてるんじゃない?名前を言いなさい、ただで済むと思ってるんじゃないでしょうね?親戚に銀行員と弁護士と市議会議員がいるわ。あなた達地元にいれると思ったら大間違いですからね!」
子供だからよくわからないけど、そういう脅しは家の親には通用しないと思うよ。
「愛莉ちゃん、気にする事無いわよ。子供の喧嘩だから黙っていたんだけど大人が介入するなら私達も介入するわ」
「政治家に知り合いがいる?上等じゃない。その喧嘩受けて立つわよ」
「あなた達何?」
山本君のお母さんが言う。
「そうね、関係を説明しておく必要はあるわね。大地は私の大事な跡取り息子」
「祈は私の大事な娘。これで満足?山本さん?」
大地のお母さんと酒井君のお母さんが名乗り出た。
この二人が出てきたら居場所がなくなるのは山本さんだと思うよ。
「失礼ですがその銀行はどちらの銀行で?」
「地元銀行よ!」
「そうですか、それは奇遇。私達の知り合いに地元銀行の会長がいるわ。楽しみね」
「弁護士を立てる?上等じゃない、法廷で争おうっていうなら受けて立つわよ。市議会議員如きに私達をどうにかできると思ったら大間違いよ」
子供の戦争はもはや大人の戦争に移行していた。
「片桐さんと山本さん。どっちが地元にいれなくなるか楽しみね」
大地のお母さんが言う。
「お母さん方どうか落ち着いてください。これは子供の喧嘩です」
水島先生が言う。
「その子供の喧嘩にしゃしゃり出てきたのは山本さんよ?桜子」
大地のお母さんが言う。
「山本さん、ここは喧嘩両成敗ということで納めてもらえませんか?」
水島先生が言う。
「喧嘩?一方的な暴力じゃない!うちの子は何もしてないわ」
「集団で一方的に暴力を振るったのは山本君達です。栗林君や桐谷君が入院してます」
「うちの子が悪いというの?」
「どちらかが悪いというわけではありません。どちらにも非があります。だから両成敗ってことで」
「やっぱりうちの子が悪いって言ってるんじゃない!よく分かりました。この件は教育委員会に届けます。先生の監督不行き届きの責をとってもらいます」
だからそういう圧力はやめたほうがいいよ。山本君のお母さん。
「教育委員会?それが何だって言うの?そんなものどうとでもなるわよ」
「そっちがそういう姿勢ならこっちにも考えがあるわ」
大地のお母さんと酒井君のお母さんはやる気のようだ。
「抗争を止められなかった非は認めます。ですが……」
「ほら見なさい!非はあなたにあるんじゃない!」
山本君のお母さんの暴走は止らない。
「これ以上話しても無駄よ桜子。この手の輩には実力行使が一番」
酒井君のお母さんが言う。
「あなた達の名前しっかり覚えたからね。後で後悔しない事ね」
むしろ後悔するのはそっちだと思うよ。
後日山本君のお母さんが菓子折りを持って家にお詫びに来たらしい。
危うく親族から破門されるところだったそうだ。
しかしやり過ぎたのは天音も翼も僕も一緒。
「だからやり過ぎるなよと言っただろ」
父さんはそう言って笑っていた。
この抗争はこれで片付いたかのように思えた。
フォーリンググレイスは残っていたがSHのメンバーに危害を加えることは無くなった。
やられたら報復が待っている。
それを恐れたのだろう。
だけど対立は続いてた。
一週間後栗林君と桐谷君は無事に退院したらしい。
2人とも竹本さんと三沢さんに告白されたそうだ。
他のクラスではいまだにフォーリンググレイスの圧政が続いているらしい。
ただ僕達は何事も無かったかのように日々を送っている。
「行ってきまーす!」
今日も天音の声が鳴り響く。
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