変化と不調

 この1月末頃は、お腹の膨れがピークになっていたようで、色々と生活にも支障が出ていた。

 徐々に大きくなっていたので、変化もいきなり起きたわけではない。なので手術が終わるまでは、まぁこんなものだろうと思っていたが、思い返してみるとなかなか大変だった。


 まず一番は、背中を曲げられない、上体を回せない、という部分だ。

 先に書いた通り、お腹に入っていたのは赤ん坊サイズのものだった。なので出産直前の妊婦さんにも等しい状態だ。

 背中を曲げるとお腹が圧迫される、と言うよりもう、お腹の皮がバーンとはじけ飛びそうに引っ張られるので、とにかく背中は曲げられない。逆に寝る時は背中を真っすぐにすると、お腹の皮がぴんと伸びてゆとりが無くなるので、膝を立てないと眠れない。


 上体も回せなくなっていて、無理に回すと脇腹が攣るのも大変だった。

 例えば座ったまま、背中の後ろにある物を取ろうとすると、それだけで痛い目に遭う。脇腹の筋肉が悲鳴を上げているのが分かるので、それ以上動かすことはできなかった。


 これが理由で一番大変だったのは、実はトイレだった。

 小さい方の時はまぁまぁ大丈夫なのだが、問題は大きい方の時だ。大抵の人はそうだと思うのだが、大きい方の時は後ろから手を回して拭く。しかし背後の物を取ることすらできないのだから、自分のお尻の下の方まで手を回すのは至難だった。

 たかがトイレ、と思われるかも知れないが、毎日の事なので地味に大変だった。


 もう一つの不調は、何かとストレスを感じやすくなっていた事だ。

 私は元々大きな物音が苦手で、人の声や咳なども苦手だったが、これが悪化していた。大声を上げているわけでもなく、物音がずっと続いているわけでもなくても、少し耳障りな声や音がすると、気分が悪くなっていた。

 そして気分が落ち込むと、回復するのが難しくもなっていた。


 体が思うように動かせず、最終的には体を大きく動かすと痛みが出ることもあったので、気分も不安定になっていたのだと思う。散歩して気分転換、などということもしにくくて、鬱屈していたらしい。


 では手術が済んだら一気に治ったかと言われれば、実はそうでもない。今度はそれまであった物が無くなった事で不調が出た。それでも、この頃に比べるとかなり楽にはなったのだと改めて思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る