手術の方向性を決めよう
B病院への予約はすぐにできた。一週間と待たず、紹介を受けて受診した。
この時の予約の時刻は9時半。ほぼ開院直後だ。
これならすぐに済むだろう、なにせ私より前に来ている人はほとんどいないのだし、と思っていた。これが大いに甘かった。
B病院は分かりやすく言うと人気の病院だ。特に私が診察を受ける科は、コロナが始まる前から待合に長い列ができていたところだ。コロナがある程度落ち着いて来たこの頃、患者さんは更に多くなっていた。
受付をしてからしばらく待った後、症状の聞き取りがあって、更に待つこと2時間。本を一冊読み終わる頃にやっと呼ばれた。
この日の診察では、もう手術は決定事項なので、実際にどう手術するかが焦点だった。
まずは無事な臓器を残すか否か。
これは家族や彼氏と相談していた通り、全て取るという方向に決めた。
先生もとりわけ反対はせず、無くなった臓器の機能を補う必要があるけれど、薬で簡単にできるよ、という話だった。
もう一つ、こちらが話の本題だったようで、すぐに決めかねる問題があった。
それは、手術の方法をどうするかという問題だ。
先のMRI検査では「明確に悪性じゃないけど悪性の可能性はある」という診断が出ていた。つまり切って出してみないと、本当に悪性じゃないかどうかは分からない、という話だ。
手術の方法は二つある。
一つはお腹を切って開き、問題のある内臓を丸ごと取り出す開腹手術。
もう一つは、お腹に4か所穴を開けて器具とカメラを入れ、切った内臓を管から取り出す腹腔鏡下手術。
この二つの違いは、前者だとかなり大きくお腹を開く必要があって体に負担が大きい事、後者では傷は小さく済むけれど、切った内臓の内容物がお腹に散らばりやすい事だ。
私は後者の方で頼むつもりだったのだが、それだともし「取り出してみたら悪性だった」という時には、問題が大きくなってしまう。
これには私もすぐに返事ができなかった。
なにしろ2時間の待ち時間で、すでに疲れ果てていたし、空腹と頭痛で気力が尽きかけていた。思考停止状態だったのだ。
術前検査も受けていくように、と言われたが、時間がかかるので昼をまたぐだろうと言われて、もうギブアップだった。
結局この日は、次の術前検査の予約を入れて、その日に手術の方法を決めるという事で帰宅した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます