コロナ下で結婚し手術を受ける話
しらす
なんだかおかしいな
事の起こりは去年の9月ごろだった。
2022年の夏は暑かった。そしてとても長かった。
いつになったら秋が来るんだろうと、台風の度に涼しくなるのを待ったが、なかなか気温が下がらない。半袖のシャツやワンピースがいつまでも手放せず、もう冬が来ないんじゃないかと思い始めた頃、唐突に冷え込んだ、という感覚だ。
そんな気候だったから、と言い訳するのは見苦しいが、冷たいアイスやジュースが長いこと手放せず、体重は夏の間に増えていた。
暑さが続くので、ゆったりとしたワンピースばかり着ていて、少々太っていてもあまり気にならなかった、というのも災いしていたと思う。
しかしそれにしても、である。
その年の春、初めて結婚を考える人と出会った私は、例年に比べて倍以上は出歩いていた。
もちろん彼氏とは頻繁に出掛けていたし、車の運転がままならない私は徒歩での移動が多かった。それに家事を覚え直そうと手伝いの量を増やしていたし、ぷくぷくの体型や体力の無さも気にしていたので、毎日散歩をしていた。
にもかかわらずの体重増加。いや、もっと言えば、お腹のボリュームが増えていた。
なんだかおかしいな。
そう気が付いたのは、私だけではなかった。
お風呂から上がった私を見た母が、お腹の膨れを心配するようになった。
上半身を鏡で見るくらいしかできない我が家では、私の全身の状態を裸で見られるのは母だけだ。その母が気にするとなると、やはりおかしいという気がする。
そこで私は、以前にも同じような事があったのを思い出した。
いつかまた同じ事があるかも知れない、と思いながら、何事もなく過ぎていたため、忘れかけていた病気の事だ。以前その病気になった時も、同じようにお腹の張りが気になったのだ。
今度、時間がある時に病院へ行こう。
そう決めたのは、10月の半ばごろになってからだった。
しかしこの時はまだ、これからどれだけ大変な事になるか想像もしていなかった。
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