本屋でちょっかい出してくる幼馴染が可愛すぎる件
橘奏多
第1話
これは学校からの帰り道、駅の近くにある本屋に幼馴染と立ち寄った時の話だ。
「ね〜ね〜
「別にいいけど、何か買いたい本でもあるのか?」
「ん〜ん。ただ寄りたいだけ〜」
恋人でもないのに腕を絡め、幼馴染である
紗彩は小さい頃からずっと一緒にいる幼馴染だ。栗色の髪をツインテールにしていて、俺に何かとちょっかいを出してくる。
「雅也はいつも漫画のコーナーだよね〜。最近はどんなやつにハマってるの〜?」
「ラブコメ。主人公のことが好きなヒロインが多い作品がいいんだ。夢があって」
「へ〜? 現実ではこんな可愛い幼馴染がいるのに、二次元の女の子の方がいいんだ〜?」
「……別にそうは言ってないだろ」
自分のこと可愛いと思ってるのか、こいつ。
……まあ、可愛いけども。めちゃくちゃ可愛いけども。
「じゃあ私と二次元の女の子、どっちの方が可愛い?」
「それは……」
「それは?」
「……の方が……」
「き〜こ〜え〜な〜い〜」
「……さ、紗彩の方が、可愛い」
すると俺の答えを聞いた紗彩は頬を赤く染め、一歩後退する。
「……ほんと?」
「……あ、ああ」
これは紛れもなく本心だ。
度々ちょっかいを出してくるのは直して欲しいところだが、可愛さで言えば二次元のどのキャラよりも勝っている。
「……ふ〜ん? ところで雅也」
「? なんだよ」
「顔、真っ赤だよ」
「…………へぁ!?」
「ぷふっ、照れちゃって耳まで真っ赤な雅也かっわい〜!」
紗彩はいつもこのように俺を可愛いと言ってくる。
もう慣れてきてはいるが、男だったらカワイイよりもカッコイイと言われた方が嬉しいものだ。
「うるせ、カワイイって言うな。そもそもお前の方がカワイイだろ!」
「……へぁ!? カ、カワイイって言われて拗ねちゃう雅也の方がカワイイもん!」
「……っ! 紗彩ぁぁ!!」
「きゃ〜! にっげろ〜!」
この流れはもはや日常。
そんな日々がいつまでも続いていけばいいな、と心の底から思った。
本屋でちょっかい出してくる幼馴染が可愛すぎる件 橘奏多 @kanata151015
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