バイト手記
陰陽由実
バイト手記
先日から春休みに入った。
まだ在学生であるというのに、三月は授業がないのか。
高校のときとはずいぶん違うんだな。
そんなわけだから少しバイトでもしよう。
そう呟いたら、両親が本屋の求人広告を持ち帰ってきた。
僕のよく行く本屋。特段話をしたことはないけれど、見知った顔の店員さんが何人かいる。
でも逆に、そういうところはバイト先としては少々恥ずかしい。
やめた後とかが、ちょっと、いろいろと、ね……
時給低めだし。
でも本屋は少し興味あるかな。
そんなわけだから。
ここに、フィクションとしての本屋バイトの話を綴ろうと思う。
◇◇◇
大抵の本屋さんでは、日本十進分類法だなんて使われていない。
もっと多くの種類の本を、より直感に近く探せるようにするための工夫なのかもしれない。
どの部類の本がどの棚にあるのか、覚えないといけない。
できることなら出版社も。
お客さんに聞かれた時に、すぐ対応できるように。
本棚に商品を補充するために。
案外、覚えること多いんだな。
それでも知らないことを知るというのは楽しくもある。
そして発見が多いのも魅力だ。
ちなみに言うと、好きなジャンルのところは行きつけの店なだけあって既に覚えてた。ラッキーだね。
レジ打ちをする。
正直なところ、苦手だ。
現金、図書カード、ポイント、キャッシュレス……本当に支払い方法が多様化していて、単にレジ打ちするのも楽じゃない。
ブックカバーの有無、本につけるかどうか、本のサイズ……サービスだって、他に職種にはないものがある。
それでも自分が知っている本や好きな本を買う人を見かけると嬉しくなる。
ああ、本当この作品は面白いですよ。
なんて内心で思いながら。
バックヤードでの話は……そうだな、少し秘密にしておこうか。
それでも夢が広がるようなことであるのを仄めかしておこうか。
ああそれと。
本屋、そこそこ重労働かもしんない。
紙って案外重たいもんね。
バイト手記 陰陽由実 @tukisizukusakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます