その不倫に覚悟はありますか?
カユウ
1章 鈴崎 信吾の場合
第1話 祝福してくれた彼らに幸せになることを誓う
「新郎、信吾。アナタは、隣にいる真央を、健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います!」
西洋人の牧師の言葉に、僕は力強く返す。牧師は僕の目を見て満足そうにうなずくと、隣に立つ新婦のほうを見た。
「新婦、真央。アナタは隣にいる信吾を、健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
真央もはっきりと返事をした。
「それでは、誓いのキスを」
牧師にうながされるままに向き合い、真央の顔を隠すヴェールを上げる。パイプオルガンからはロマンチックなメロディが聞こえてくる。儀式とはいえ、親や友達の前でキスすることがこんなにも緊張するとは思わなかった。真央も同じように考えていたのだろう。目が合うと、気恥ずかしそうに笑った。僕たちは軽くうなずき合い、ゆっくりと唇を重ねた。その瞬間、参列席からの大きな拍手と指笛の音。恥ずかしくなり、数秒でキスを終える。
「「「「「結婚、おめでとう!!!!!」」」」」
あれよあれよという間に式は終わり、鐘の音を聞きながらチャペル前の階段を降りている。左右に並んだ親戚や友人からのフラワーシャワーと祝福の言葉を受けた。
「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」
我ながら頬が引きつるんじゃないかと思うくらいの笑顔で返答していく。一段一段ゆっくりと降り、一番下に着いたら、振り返って参列者に一礼。顔を上げ、笑顔で拍手をしてくれる親戚や友人たちの顔を見る。
(ああ、こんなにも祝福してくれる人たちがいるんだ)
そう思った僕は、心の中でこれから真央と二人で幸せに暮らしていくことを彼らの笑顔に誓った。
その後、披露宴と二次会を終え、予約していたホテルに着いたときには日付が変わる直前。お互いを労い、結婚式や披露宴、二次会での出来事を話しては笑い合いながらベッドイン。付き合っていたときから体を重ねてはいたが、新婚初夜ということもあってかお互いにとても気持ちが盛り上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます