第3話 ノックノックノック……

 トイレのドアがノックされた。

 黙っている。

 また,ノックされる。

 どうしてよいか分からず,やはり,黙っている。

 ノック,ノック,ノック,ノック。

 どうしよう,誰か助けて――

 ノック,ノック,ノック,ノック,ノック,ノック。

 やめてよ,むこうへ行って! 早く,むこうへ行ってよ!

「おかしいな。反応がない。なかで倒れてんじゃないのか」

「そうですね,店の者を呼んできましょうか」

「うん,そのほうがよさそうだ」

 咳払いした。

「あれっ――今,声がしたか? もし,もし,大丈夫ですか?」

 ノック,ノック。

「聞こえてますか? 大丈夫ですか? 助けを呼びましょうか?」

 トイレのドアをあけた。2人の男に立ち塞がれている。その間を擦り抜けようとして腕をつかまれた。

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