第53話
一瞬で、黒の骸は、頭から馬の足まで真っ二つになっていた。
骸の乗っていた馬の二つに分断された背から、足に掛けて、おびただしい鮮血が舞う。
アンデッドなので脆いのだ。
だが、モートはできるだけ早くに、シンクレアとミリーを探すことにした。モートがゾンビ以外の音を聞こうと、耳をすますと、今度はスラブ街の方で激しい銃撃戦の音がした。
新鮮な血の臭い漂う密集されたスラブ街は、ゾンビが溢れかえっている。とうとう、向こう側の道路の端まで溢れかえってしまい。それを一軒の平屋建ての中から、雄々しく黒いスーツを着た男たちがトンプソンマシンガンで蜂の巣にしていた。
元はアンデッドと化したホワイトシティの住人だが、……ゾンビは人を襲うようだ。そう考えたモートは、仕方なく。黒いスーツ姿の男たちを助けるため。ゾンビの首を狩っていった。
次々とゾンビの首が飛び。
汚れた血が辺りに凄惨に舞った。
と、その時。
「モート! そのゾンビはもう死んでるけど殺しちゃダメよ!!」
モートが振り向くと、平屋建ての小窓からシンクレアが怯えた顔を出していた。どうやら、この平屋建てがシンクレアの家らしい。初めてそのことを知ったモートは、きっと、この平屋建ての中には、今もシンクレアの姉弟がたくさん住んでいるのだろうと考えた。勿論、ミリーもいるはずだ。その証拠にミリーが姿を現した。
「向かいの優しいお爺さんだったの!! 部下にもそう命令しているの!! きっと、今はひどい状態だけど、この現象が治ると元に戻るんだわ。きっと、そう。そうよねモート」
シンクレアの顔は血の気が引いているが、その更に年下のミリーは裏の組織を牛耳っているだけあって、忽然としていた。
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