第6話 Rain of blood (血の雨) モート編

 モートはアリスとオーゼムが帰った後に、狩りの前にこの広大なサロンの片隅の質素な椅子に座り。一人でこれらの事象を少し考えることにした。


 聖パッセンジャービジョン大学でモートは聖痕現象に関しての本を読んだ。それにはただイエス・キリストが磔刑たつけいとなった時の傷が身体に浮き出る現象。または、科学的には原因不明の現象で似たような傷が身体に浮き出ると書かれてあるだけだった。


 一番この事象に詳しそうなはずのオーゼムは、残念ながら上層部に聞かないとわからないと言っていた。

 

 モートは血の雨は何故降るのかよりも、アリスに浮き出た聖痕現象のことを優先的に考えたかった。

 ただ血の雨が止んだのは、ウエストタウンの地下で少女を守るため悪漢を三人狩った日のことだ。同じウエストタウンにいるその背後にいたリーダー的存在がゾンビだったのだ。つまりはアンデッドだ。モートがその人物を狩ると途端に血の雨は止んだ。血の雨と聖痕と少女。そして、アリス。それらは一体何を意味しているのだろうか?


 考えてもさっぱりわからない。

 モートは諦めて狩りに行った。


 ここノブレス・オブリージュ美術館の屋上に立つと、真夜中の空は晴れているようで、ありありとした白い月が浮かんでいた。

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