第8話 スライム牧場 その1

 5歳の子供でも倒せる魔物。それがスライム。ただし、危険な相手で、毎年死ぬ子供も多い。

 それでも、孤児院はそこに子供を派遣する。

 付き添いは、迷宮ギルドの職員が最初は行う。

 武器は、貸し出しの木の棒。これで充分倒せる存在。

 スライムは、環境維持のために飼育されている。街中のゴミを処分する貴重な存在。

 ゴミを栄養として取り込み、分裂して増殖する。時々、危険な進化をする事もある。

「簡単じゃないか」

「弱すぎる」

 同じ孤児院の子供が、棒でスライムを叩き殺す。試しに、僕もやってみたけど簡単に倒すことができた。

「これが、ドロップ品か…」

 僕がスライムを倒すと、小さな欠片が出現しました。1センチほどのレンズみたいなのが物でした。

「何?」

「魔石の欠片かな?」

「きれいね」

「あぁ」

 孤児院の同年代で唯一の女の子が、話しかけてくる。ララという子だ。

「俺だって、やってやる!」

 同年代の、リーダー的存在のダンが叫びながらスライムを倒す。

 数匹倒すと、小さな魔石が出現した。

「スライムの魔石ですね」

 ダンの腰巾着、トトが褒めちぎる。

「今日は、最低一人10匹倒すのが目的だ」

 引率の職員が、目的を言う。言われる通り、10匹のスライムを倒す。10個のスライムの魔石の欠片を手に入れた。

 宝箱は、僕は出なかった。ララが、2つの宝箱を手に入れる。彼女は、宝箱の出現率増加のスキルを持っているらしい。スキルに関しては、お互い秘密にしている。ただ、ララは宝箱が出現した嬉しさに、スキルのおかげと言ってしまった。

 宝箱の中身は、初級ポーションらしい。職員がアイテムを鑑定する道具を持っているみたいだった。

 鑑定系のスキルは、貴重です。人を鑑定するスキルの所持者が、国が厳重に管理しているそうです。スキルの内容も、一部の人間が管理していると言う話でした。

 ララのスキル、職員に知られたのは危険かもしれませんが、僕にはどうにも出来ません。

 僕が毎回、魔石の欠片を出現させた事も、知られています。子供は、特に気にしていないみたいです。ただ、職員の行動が、何かを監視しているみたいで怖いです。

 数日間、同じことを繰り返しました。

 基礎訓練、基礎学習、スライム牧場。

 個人レベルというものが存在して、僕のレベルは3に上昇。他の子も、同じ感じです。

 一人だけ、レベル6になった子がいます。確か、テテだった気がします。経験値上昇系のスキルを持っているのかもしれません。

 他の子は、気にしていませんが、やはり職員が怪しいです。

 毎日違う職員ですが、監視が厳しい気がします。

 魔石の欠片は、毎日回収されるので、アイテム合成の実験はできていません。

 他のスキルも使いたいので、監視が早く外れてほしいです。


 一月ほど、同じことの繰り返し。

 レベルは、10になりました。スキルのレベルは変動していません。

 数人、怪我をした子供がいますが死者はなし。

 レベルが10になったので、職員の同行は終了。明日からは、子供だけでスライム牧場。

 ただ、ララとトトは、次の段階に進むということで別行動になりました。

 少し嫌な予感がしますが、今の僕では何もできません。

 監視が無くなるので、他のスキルをを試しましょう。


 

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