第36話 オーガの中身

 あのミノタウロスやスライムも……人間から変異した。

 という事は……彼らは……。


「まぁ、いいよ。君たちがあの世に送り込んだ我らが仲間に、すぐにでも会わせてあげるからさ!!」

「……アニマさん!」


 ロープの声で、私は正気に戻った、咄嗟に盾のカードを翳し、ドラゴンの突進攻撃を防御した。

 私はドラゴンに蹴りを入れ、遠くに吹っ飛ばした。


「ふふふ……なかなかやるねぇ、流石だ」


 ……なんて力だ、耐えるのがやっとなくらいだ。


「ねぇ……愛して……愛してえええええええええ!!」


 ドラゴンを吹っ飛ばしていたのもつかの間……地面に手をついていたオーガが立ち上がり、こちらに突進してきた!!


「アニマさん! 危ない!」


 ロープはオーガに目掛けて拳をお見舞いし、奴に攻撃を与える。

 ロープの拳攻撃はオーガに結構なダメージを与えられたものの、奴はまだまだやる気だった。


「ふふふ……まだまだ小手調べさ、行くぞ!」

 

 遠くへ倒れていたドラゴンは、私に目掛けて炎を吐く。

 盾でそれを抑え、攻撃こそ受けないでいたものの、耐えるのが精一杯だった。

 どうしよう……オーガの相手をするだけで手一杯なのに……。

 何か策は……策は無いの!?


「ねぇ……アタシを愛してよぉ……カロン……」

「……カロンだって?」


 ずっと思ってたけど……この声はまさか。


『アタシも賛成―、二度と来るなよ、この役立たず!』

『ベーだ! お前らなんかダンジョンで死んじまえばいいんだ!』


 ……ヒドラ?

 じゃあこのオーガは……ヒドラが……。


「あんたはアタシを愛してくれる? 愛してくれるんでしょ!?」

「……くっ!」


 ロープが押されてる……何とかしないと……でも。


「ふふふ……いつまで守っているつもりだ!」


 ドラゴンは炎攻撃をやめ、私に腕を振り下ろす。

 間一髪でカードはできたが、盾にヒビが入ってしまった。


「クソ……ここはカードを変えないと……」


 私がカードを変えた……その時。


「うおおおおおおお!! 喋るモンスターはあそこだ!!」

「これで報酬ゲットだ!!」

「死んだ仲間の分まで戦うぞ!!」

「仲間の敵だ! 死ねええええええええ!!」


 後ろから大勢の冒険者たちが、武器を構えて応援に駆け付けたのか、声が聞こえた。

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