第12話 騎士団長

「……アニマさん! やりました!」


 地面に着地したロープは咄嗟にこちらを振り向き、サムズアップをした。

 私はロープに近づいて……頭を撫でてあげた。

 なんか……頑張っていたからついそうしたくなってしまったからだ。


「流石ロープ!」

「そんなぁ……アニマさんのおかげですよ! えへへ~」


 ロープは嬉しそうな表情を浮かべる。

 ロープはかわいいし強いし……私とは全然違う、彼女を参考にしないとな。

 ……とまぁ、これで喋るミノタウロスは退治できたな。

 ……と、ここで私はあることに気付いた。


「このモンスター……消えない?」


 モンスターは倒すと通常、煙になって消えるはずだ。

 そしてたまーにアイテムを落とす。

 なんだけど……こいつは消える様子がない。

 よく考えたらあの時のゴブリンもそうだ、あの時はロープに引っ張られてどうなったのかは分からなかったけど……どうしたんだろう?

 と、その時だった。


「そこの者たち! 大丈夫か!?」


 甲冑姿の集団が、馬に乗ってこちらに向かっていた。

 あれは……騎士団?


「アニマさん! あれ、騎士団の団長さんですよ!」

「だ、団長!?」


 先頭を走る勲章を沢山付けた赤毛のショートヘアの女性……アレが団長さん!?

 なんだろう、遠くから見ても貫禄がある。

 でも、なんで団長さんがここに?

 そんなことを考えていると、騎士団は私たちの前で停まり、その一部はミノタウロスの処理を始めていた。

 ……これは?


「君たちが喋るモンスターを倒したのか! 凄いな!」


 ……団長と思われる女性はそう言って、私とロープに向かって走ってきた。


「私は騎士団の団長、『タイタン』だ! よろしく頼む!」


 団長……タイタンさんはそう言って握手を求めてくる。

 私とロープは彼女に流され、その手に答えた。

 甲冑越しだからか……結構冷たい。


「私はロープです! ジョブは格闘です!」

「格闘の冒険者か! よく鍛えているようだな! よろしく!」


 タイタンさんはロープの肉体を褒め称える。

 どうしよう……ジョブ変身って笑われるかな?


「……で、君の名前は?」

「あー……えーっと……」

「えーっと? 変わった名前だね」

「違います!」


 「えーっと」ってどういう名前だよ!

 心の中でそう突っ込んだ。

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