第7話 同居と陰謀

「じゃ、じゃあ改めてよろしくね、ロープ」

「はい! よろしくお願いします! アニマさん!」


 ……てなわけで、新たなパーティがここに結成した。


「……じゃあ、結成祝いに何か食べに行こうか」

「はい! じゃあその後にダンジョンに行きましょう! 私、バリバリ行けちゃいますよ!」

「そ、そう……」


 ロープはその場で素振りをし、自身の体力を徐に披露する。

 なんだろう……かわいい。

 ……と、そういえば。


「私、どこに泊まろう?」


 あのままあそこの宿にいても、パーティを結成した以上は不便だし、ここの宿は見たところ満室……。


「じゃあ! ここに泊まってください!」

「い、いいの!?」


 いやいやいや、だってここのベット見るからに一人用なんだけど!?

 私どこで寝るのよ!?


「せっかくできた仲間なんですから、夜の冷える中、野宿させるなんてできません!」

「誰も野宿するなんて言ってないんだけど!?」


 どうやら彼女の頭の中では、私は野性を生きる何かのようだ。

 流石に私は動物に変身できるとはいえ、そういうタフな人間ではない。


「大丈夫です! 幸い貯金はありますし、私たちはもうパーティなんですから、助け合っていかないと!」

「いや、でも……」

「遠慮しないでください! それに私たちで支えあって稼げばいいじゃないですか!」

「さ、支えあって……」


 なんだろう……その口調だと、まるで夫婦みたいな……。

 でも私たち女同士だし……そういうのじゃ……って何考えているんだ私は。


「それじゃ! 早速私たちの生活費を稼がないと! ギルドへ行きましょう!」

「あ、う、うん……」


 ロープは私の手を取り輝かしい目で私を見つめる。

 この子の手……なんか暖かいな、格闘ジョブで素手で戦っているなだけあって、手のひらは硬かった……でも、嫌な感じはしない。

 むしろ……って、私意識しちゃってる?


「さぁ! 早く早く!」

「ちょ、ちょっと!」


 ロープは私の腕を引っ張って……冒険者ギルドへ連行した。



とある屋敷。

……そこに白い燕尾服を着た褐色肌の女性が入る。

女性はそのまま、階段を上がっていき……最上階の部屋へと入室する。

部屋の中は本で埋め尽くされていて、中央には、ローブを纏った女が椅子に腰を掛けていた。


「……『カーリナ』、報告しろ」


ローブの女は、褐色肌の女が入室したことを確認すると、開口一番そう言った。


「はい、『ゴブリンロード』の『マルス』……冒険者に狩られました、覚醒者はゼロ……何の使い物にもなりませんでした」

「……そうか」


褐色肌の女……カーリナの報告を聞き、ローブの女は無念の気持ちでいた。


「『覚醒者』……なかなか増えないな」

「そうですね……ですが、いい報告もあります」

「……言ってみろ」

「私が襲った人間……約2名が覚醒しました、それぞれ、『スライムロード』と『ミノタウロスロード』です」

「そうか……それはいい『我々の仲間』を増やすことが、この国の安泰にも繋がる……そのまま続けろ」

「……はい」


カーリナは報告を終え……『巨大なドラゴン』に変身し、そのまま窓から飛び去って行った。


「……我ら『ロードモンスター』……我々こそがこの国を支配するにふさわしい……全ての人間がロードモンスターに覚醒すれば……」


ローブの女はそう呟き……『屈強なゴーレム』に変身した。

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