第5話 仲間
「す、すごい……すごいです!」
ギルドの中から突然、茶髪にキツネの耳と尻尾をする……所謂獣人の女の子がこちらに近づいてきた。
身軽そうな長袖の服を着ていて、青い瞳で私を見つめていた。
「貴方……もしかして……伝説の勇者様!?」
「で、伝説の……勇者?」
何言ってんだこの子は?
「おい! アンタ! ウチのパーティに来てくれよ!」
「馬鹿野郎! 俺が先に目を付けたんだ!」
「違う! 私たちのパーティに……」
ギルドから出てくる人が私に向かってくる! どうしよう……このままじゃ人ごみに紛れて……。
「こっちに来てください!」
「え? ちょっと……」
私は女の子に引っ張られ、その場を後にした。
◇
「ふぅ……ここなら大丈夫ですね」
「あ、ありがとう、人ごみから救ってくれて……」
私は女の子に連れられ、彼女が泊まる宿の部屋へと着いた。
部屋の中には小さいベットが一つに、椅子が二脚とテーブルが一つ……最低限の設備しかない普通の部屋だ。
……と言っても、私の部屋よりかは十分豪華だけど。
「ありがとうは私のセリフです! モンスターから助けてくれてありがとうございます! 勇者様!」
なんなんだ、勇者って……。
「ねぇ、その勇者様って何?」
「はい! 私、小さい頃からずーっと勇者様に憧れているんです! 幼い頃、お婆ちゃんにしてくれた勇者様のお話を聞いてから!」
「へ、へぇー……」
勇者様のお話ねぇ、それと私が似てるってこと?
「お婆ちゃんは言ってました! 勇者様は様々なジョブになりきれる凄い方なんだって! 貴方はきっとそうなんです!」
「そ、そうかな?」
そう言われると……なんか照れる。
私が……勇者様か。
「勇者様! お願いです! 私とパーティを組んでいただけませんか?」
「ぱ、パーティ? いきなり何?」
女の子は唐突に提案をする。
いやいやいや、確かに私もパーティをクビになったわけだし? 嬉しいけどさ……うーん……。
「まずさ、貴方の名前が分からないんだけど? 私はアニマ、よろしくね」
「アニマさん! よろしくお願いします! 私は『エウロプ』と申します! 『ロープ』って呼んでください!」
「じゃ、じゃあ、よろしくね。ロープ」
「はい!」
少女……ロープは元気よく返事をした。
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