第67話 猫の年齢

「凄いです! 瑠璃さん、本当に昨日探索者を始めたばかりですか?」

「うん、まぁ……この変身アイテムのおかげだよ」

「だとしても、動きが初心者じゃないです!」


 リン達も言ってたけど、私ってそんなに探索者の才能がある?

 言われると嬉しいけどさ。


「アリスさんも凄いね、魔法って少ししか見たことないけど、モンスターの集団を一掃できるなんて……」

「まぁ、まだ魔法を勉強して5年くらいですけどね」

「5年?」

「はい、『1歳から勉強を始めて』、5年目です!」

「……ん?」


 今この人なんて言った?


「ごめん、聞き間違いかもしれないけど、1歳から勉強を始めて、今5年目って言った?」

「はい、そうですけど……」


 やっぱり……聞き間違いじゃない?


「あの……失礼だけど、今いくつ?」

「はい! 今年で6歳です!」

「ろ、6歳!?」


 えぇ!? 見た目20代前半……って言っても顔が猫だからわからないけど、体型はそのくらいじゃない!?


「な、何かおかしいですか?」

「いやちょっと待ってね……まさか貴方がまだ1桁の年齢だとは思わなくて……」

「日本には……猫獣人の人いないのですか?」

「うん、人間しかいないよ……だから驚いちゃった」

「なるほど、でしたらそこまで驚くのも納得です」


 なんだろう、失礼なこと言っちゃった。

 ここは謝らなきゃ……。


「す、すみません! 私ったらデリカシーのないことを……」

「い、いえ! 知らなかったのならしょうがないですよ!」


 いや本当に、これだとさっきのチャラい集団の何ら変わらないじゃないか。

 アリスさんは気にしていないようだけど……私だったら嫌な気分になる。


「わ、私たち猫獣人……ひいては、獣人のほとんどは、人間さんやサキュバスさん、ドワーフさんと比べても圧倒的に寿命が短いんですよ」

「寿命が短い?」


 どういう事だろう?


「はい、私たち獣人は、1歳辺りが人間さんで言う18歳くらいに相当するみたいです!」

「な、なるほど……」


 確かに現実の猫も、1歳半が人間でいう20歳くらいなんだっけ?

 そういえば猫は1か月で人間でいう4歳……ということは、アリスさん……人間で言えば40代!?

 いや、考えないでおこう……。


「にしても驚きました……確かに、瑠璃さんみたいな平たい顔の人間さんしかいないなーって思っていたんです」

「あぁー確かにね」


 最初助けてくれた猫獣人も言ってたなぁ、平たい顔の人間って。

 サンルートの人から見たら私たち日本人ってそう見えるんだろうね。

 あの猫獣人の人も魔法使いで、「モンスターを倒すのが自分の仕事」って言ってたから、おそらく彼も探索者なのだろうか? 探索者……今の日本じゃ報酬も何ももらえないだろうな……。

 日本で彼らが活躍できる職業……なんだろう?


 ……よく考えたら、いくら言語が同じで会話が通じるからと言っても、アリスさんみたいな獣人の人が活躍できるような職業、何があるかな?

 食べ物を扱う仕事は恐らく、体毛の問題で難しいのではないかと私は考えるけど……それも偏見なのかな?

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