第62話 差別主義者の滑稽な姿
「……ここは?」
目を開けると……森の中にいた。
おかしい……さっきまで街の中にいたはずだ。
さっきの魔法陣……前と同じ、ということは……。
「ここは……ダンジョン?」
確か……Web小説でも、こういうのあった気がする。
ダンジョンは……洞窟だけじゃない、森や荒野、荒れ果てた村……。
つまり……。
「ここは……いわば樹海みたいなものか」
……とりあえず、ダンジョンボスを倒して、最深部の魔石を破壊して……それで……。
「う、うわあああああ!! 助けてくれええええええ!!」
「きゃああああああああ!!」
……この声は。
いけない! とりあえず変身しよう!
私は腕輪とカードを出し、赤い戦士へと変身した。
流石に3回目となると、慣れてくるものだった。
「……行くか!」
私は声のする方へと走り出した。
距離はそこまで遠くなかった。
声の震源地に到着すると……液状の怪物が、チャラい男女の集団を追い詰めていた。
アレは……まさか……。
「……スライム?」
間違いない……アレはスライムだ。
創作物だと雑魚扱いされてるけど……現実はそうではない、彼らは完全に追い詰められている。
「なんなんだよこいつら……超きめぇ……」
「ねぇ! そういえば、タツヤは!?」
「知らねぇよ……」
「まさか……こいつらに?」
……よく見ると、集団の中で、1人足りないような気がした。
まさか……こいつらに?
助けなくちゃ……早くしないと、あの人たちは……。
『あはははは!! 猫缶を美味そうに食ってるよ!! 超ウケるんだけど!!』
『あはは! ほんと! マジで猫じゃん!!』
……私はふと、彼らが行った行為を思い出す。
この人たちは……救うべきなのだろうか?
「だ、誰か……助けて……」
……集団のうちの一人の男があまりの恐怖に……下半身を濡らしていた。
……いい気味だ、あのサンルート人を馬鹿にした罰だ、せいぜい苦しめ。
そうだ、これは天罰だ、ざまぁみろ……。
「お願い……こんなところで死にたくない……」
これは天罰だ……天罰……。
「誰か助けてくれよぉ……ママぁ……」
……あぁもう!
……別にあんな奴ら、生きていればそのうち社会的に裁かれるかな……気に食わないけど、助けよう!
私が刀を構え、助けに行こうとした……その時だった。
「ファイアボール……マキシマム!!」
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