第32話 異世界人の出身地と避難場所
「ねぇゴル爺、あの人たち……サンルートの人じゃない?」
「犬獣人にドワーフ……サンルートにしかいない種族だ、間違いないな」
……どうやら彼らもサンルートの人らしい。
話からすると……サンルート王国は獣人とドワーフの国?
「アタシと同じエルフ族の人もいるのかなぁ?」
「リンはん、もしかしたらサンルートだけで、『外国』はちゃうかもしれへんで」
「だよね! サンルートだけだよね! 流石にエルフはないと思いたいな……」
……外国? どういうこと?
「……リンってサンルートって国の人じゃないの?」
「あぁ、そういえば言ってなったね、アタシとノンノンって違う国から来たんだよ」
「へ、へぇ~……」
なんとここで新情報、リンとキセノンはサンルートの人ではない、ではどこの人なんだ?
ていうか、ラピスがサンルートの人なら、サキュバスもサンルートの民族……。
ますます、リンたちの世界が気になる……研究者の性ってやつ?
「……なんか……サンルートの人……結構いる……」
キセノンが歩きながらそう呟いた。
確かに得体のしれない人たちが道の真ん中でたむろしたり、辺りを見渡したりしている。
向こうを見ると、車道に座り込んでいる人と、それをどかそうとクラクションを連続で鳴らす車、そんな得体のしれない人たちを何とも言えない顔で見る、避難所に向かう街の人たち。
……異世界の人たちと地震、何か関係があったりするのだろうか? ……地震が治まった途端に、突如として、ダンジョンと異世界人が来た。
何か因果関係があるのかもしれない……というか、あんなに大きい地震があったというのに、津波警報も無ければ、火災もないし、倒壊した建物も、ひび割れた道路もない。
いつも通りの街に見える……あんな地震があったはずなのに、これは……おかしいぞ?
……そんなことを考えていると、目的地が見えてきた。
「ついた! あそこが避難所!」
私は目的地である小学校を指差した。
……すると、4人は……唖然としていた。
「何……あれ? バリ大きい建物……まさか……ダンジョン?」
リンは震えながらそう言う。
あぁなるほど、学校ぐらいの建物をそこまで見たことがないってことか。
……さっきのマンションは何の違和感も持たなかったのはなぜだろうか? そのくらいのサイズの集合住宅はそこまで珍しくないという事なのだろうか? まぁいいや。
「あぁ、あれは……小学校だよ」
「しょう……がっこう?」
「うん、ちょうど翡翠ちゃんくらいの年齢の子が勉強をするところ」
「……」
私が小学校について説明すると、リンは……黙ってしまった。
「ありえへん……みんなあそこで勉強するんか?」
「うん、私もああいうところで勉強したよ」
「日本……どうなってんねや……」
ラピスは頭を抱えてしまった。
……サンルートの初等教育ってどうなってんの? そりゃ異世界小説だと貴族だけとかはよく見るけどさ。
「……とにかく! そのガキをあそこまで送るぞ!」
ゴルドは流石年長者なだけあって、一人、前へと進んだ。
うん、ゴルドの言う通り、まずは避難所まで送ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます