第8話 食い違い

「本当なの? もぉー、バリ危ないじゃない、そんな武器だけじゃ、すぐ死んじゃうよ?」

「それにこの人間はん、近接戦闘武器を所持しとるのに防具も何もつけとらんやん、よう入れたな」

「それに……全然……体力も……無さそう……修行が……足りない……」


 私は謎の風貌の女性3人にボロクソ言われた。

 いや……貴方たちも大概でしょ……。

 男性は防具を身に着けているようだけど、ピンク髪の女性は身軽さを重視しているのか軽装に見えるし、青髪の女の子はチャイナドレスみたいな格好しているし……というか長身の女性なんか、まるで露出狂みたいな恰好じゃない! こんな人に防具がどうこう言われたくないんですけど!?

 ……って、そんなこと考えている場合じゃない!


「あ、貴方たち誰!? 人間なの!? 外国人に見えるけど……日本語通じるの!?」


 私は素朴な疑問を投げかける。

 すると、4人は困惑した表情で口を開いた。


「誰って……質問してるのこっちなんだけど? 貴方の方こそバリ誰よ?」

「外国って……ウチらからしたらアンタの方が外国人に見えるんやけど?」

「ワシらが人間? 何言ってるんだ?」

「日本語って……私たち……『サンルート語』……喋ってる……」


 ……え? ど、どういうこと……? 言っていることが……よく分からない……。

 4人はふざけているのではなく、真剣に聞いているようだった。

 話がかみ合わないってこういう事を言うのだろう……。


「あの……るり姉」

「え!? ひ、翡翠ちゃん!?」


 私たちがお互いに困惑している中、1人の天使が乱入してきた。


「えぇ!? 誰この子!? バリ可愛いんですけど!?」


 ピンクの女の子が歓喜し始めた。

 そんな中、男性が再び、私に向かって来る。

 こ、今度は何?


「リン! 可愛いとか言ってる場合じゃない! それよりお前……武器はともかく、ガキと一緒にダンジョンに入るとか何考えているんだ!」

「だ、ダンジョン?」


 ダンジョンって……ここの事?

 それって異世界小説とかで出てくる……アレの事?


「その様子やと……ここがダンジョンというのも分かってへんのか!?」

「は、はい……私たち……突然、変な魔法陣に覆われて、気が付いたらここにいたんです」


 私は真実を4人に語る。

 翡翠ちゃんは……覚えていた。


「誰……この人たち……怖い……」


 まぁ、当然と言えば当然だ、人間とも言えない……って言ったら失礼だけど、そういう人たちが武器を片手に訳の分からないこと言っていたらこうなるに決まっている。

 すると、青髪の女の子が、翡翠ちゃんに向かって目線を合わせた。


「心配……いらない……外に……必ず……出して……あげる」

「ほ、本当?」

「うん……嘘は……言わないよ」


 青髪の女の子は、笑顔で翡翠ちゃんにそう言った。


「と、とにかく! ここはバリ危険だから、『安全地帯』に行こう!」

「あ、安全地帯?」

「説明は後や! ほな行くで! 子どもから手ぇ離すなや!」

「え、ちょっと……」


 私たちは4人に連行されていった。

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