詩小説3 世界を幸せにする歌声

内に秘めたるもの

僕は持っているはずだ

本来の能力は

凄まじいものであるはずだ

そんな錯覚はもうやめよう

僕はこの僕が持っている力で

僕の愛する“歌”を汚した


「世界を幸せにする歌声」を響かせて

人々の耳に澄み渡るように

だから技術力勝負

技術も才能も

向上の片鱗がなければいらない

僕の愛する“歌”の世界は

いつからこんなに機械的になったのだろう

誰しもが心の奥にしまっている

自分の想いを

自分の好きを

世界で1つの声に乗せられる日が来れば

どれだけ幸せだろうに

脳裏にこびりつく

『お前の歌声は』

-世界を不幸にする歌声だ-


僕には“好き”に伴う能力がない

僕は幸せにしたいのに

みんなは顔を顰める

わかっている

みんなにとって

僕の歌声は雑音だと

でも

雑音も嫌気もコンプレックスも

全部取り払って

みんなが心の底から笑顔になれる

そんな“歌”を歌いたい


そんな時にあなたと出会った

あなたは言った

「1度歌ってみよう」

-世界を不幸にする歌声だ-

震える咽喉と唇

恐れないで

あなたは僕に

歌う場を作ってくれたのだから

怖い、怖いけれど

僕の本当の気持ちを乗せて


『君の歌声は』

-心の内の情熱を感じる-

『素晴らしい歌声だよ』

その時、僕の隣を風が横切って

全てを一掃された

“歌”は技術じゃない

心の内をオンリーワンで表現するものだ

僕は僕しかいない

「世界を幸せにする歌声」を目指して

この世界を変えてやる

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